海外企業の分析

Alphabet Inc. 決算分析

普段は国内企業を中心に取り上げている当ブログですが今回は久しぶりに海外に足を伸ばしてみたいと思います。

ビューーーーーーーーン

はい!アメリカにやってきました。今回取り上げるのはAlphabet Inc.です。

Alphabet Inc.ってどんな会社?

Alphabetはアメリカ合衆国のカリフォルニアに本社を置く持株会社です。Alphabetと言われても知らない人が多いと思いますが、あのGoogleを傘下に持つ会社です。2019年12月度の連結売上高は約17兆8千億円、連結従業員数は118,899人となっております。Alphabetの中心となるGoogleは1998年にラリーペイジとセルケイブリンによって設立された会社です。検索エンジン、Youtube、スマートフォンOSのアンドロイドといったサービスを提供しております。インターネットやスマートフォンの基幹部分を担っており、Google無しでは現在の生活は成り立たないといえるでしょう。2004年にNASDAQへの上場を果たしました。

損益分析

Alphabet Inc.の2019年12月期の連結損益計算書の概要は以下のとおりです。Alphabet Incはアメリカの会社ですのでドル建てで財務諸表が作成されております。わかりやすさの観点から今回の決算分析では簡便的に一律に1ドル110円として換算して分析を進めていきます。

売上高は17兆8千億円と桁違いの規模を誇ります。営業利益率は21%と比較的高い水準にあり、営業利益の金額も3.7兆円と桁違いです。日本で最も大きい会社と言われているトヨタ自動車の2019年3月期の営業利益は2.4兆円でからトヨタの1.5倍の利益を稼いでいることになります。

売上高の内訳(事業別)

Alphabet Incの2019年12月期の事業別の売上高の内訳は以下のとおりです。

売上のうち最も大きな割合を占めるのがGoogle広告事業です。Google全体の売上の80パーセント以上を占めています。最近はYouTubeの勢いがすごいですがまだまだGoogleの検索エンジン等からの収益の方がずっと大きいことがわかります。

Googleネットワークメンバーは、ネットワークメンバーが持っている媒体に広告を掲載することによって得られる売上となります。ネットワークメンバーに対して広告料を支払うため利益率は低くなるようです。

次いで大きいのはGoogleのその他事業です。こちらは主にスマートフォンOSのアンドロイド関連の売上が含まれているようです。スマホゲームの決算書分析した際に発見したことですが、アンドロイド携帯で課金した場合には約30%がGoogleに手数料として入るようです。つまりアンドロイド端末をつかって課金すればするほどGoogleが儲かる仕組みになっています。

そして紹介されている中で最も小さい事業(といっても1兆円弱の売上がありますが)はGoogleクラウドです。Googleが提供するクラウドサービスでデータストレージやデータ分析、機械学習などができるようです。クラウド事業はアマゾンなども力を入れている事業となっているため今後成長が期待されている事業です。

アンドロイドやクラウド事業も規模が大きいですが、現状ではGoogleは主に広告事業から収益を得ているということが分かりました。

売上高の地域別の内訳

Alphabet Incの売上高の地域別の内訳は以下のとおりとなっております。

最も売上が大きいのは本社があるアメリカとなっており半分近い割合を占めております。アジア地域では中国から撤退していることもあり、売上は約3兆円となっております。考え方によってはまだまだ伸び代があると見ることができると思います。

売上原価・販管費について

売上原価や販管費についてはほとんど内訳が開示されておらず、詳細はわかりません。

売上原価について

売上原価についてはTraffic acquisition cost(TAC)とその他原価という内訳しかわかりません。内訳は以下の通りとなっております。

TACは主にGoogleネットワークメンバーに支払われるものと、webブラウザのプロバイダーや携帯電話キャリアーに支払われるものがあるようです。英語が難解でそれぞれどのような時にGoogleが対価を支払うのかよくわかりませんでした。おそらくTACはGoogleアドセンスなどのサイト運営者に対して支払う報酬であり変動費的な側面が強い原価であることが推定できます。

その他原価についてはYouTubeやGoogle Playでのコンテンツ提供者に対して支払っている費用やデータセンターに関連する費用が含まれているようです。

販管費について

Googleの連結損益計算書に出てくる費用のうち日本の会計基準で販管費に相当しそうな費用は以下の通りです。

こちらについても内訳がほとんど開示されていませんでした。研究開発費が2.8兆円も計上されていることが目を引きます。これだけ巨額の費用を投じてAIや自動運転といった最新技術の研究をされてしまっては日本企業が束になって挑んでも勝てないように思えます。人件費にも巨額の費用を投じているようです。Alphabetの株価がどんどん上昇していることもありますが、株式報酬費用として約8,400億円もの費用が計上されているようです。従業員に対して株式で報酬を支払っており、それが従業員へのモジベーションアップにもつながっています。従業員数が約12万人ですから単純計算で一人当たり約700万円の株式報酬を得ている計算になります。

税負担率について

Alphabetの2019年12月期の税負担率は以下の通りとなっております。

なんと税負担率は約13%と非常に低くなっております。日本の法定実効税率は約30%ですので、非常に低い水準にあると言えます。税負担率が低い原因は以下のとおりです。

まずそもそもアメリカの税率が21%と日本の税率よりもかなり低い水準にあることがわかります。その他にも在外子会社による影響で5%以上税率が低くなっております。おそらくタックスヘイブンと呼ばれるような税率が低い国に会社を移すことで節税をしているのでしょう。

Alphabet Incの最終利益は税率が低いことも貢献して約3.7兆円と桁外れの金額を計上しています。

貸借対照表分析

Alphabet Incの2019年12月期の連結貸借対照表の概要は以下のとおりとなっております。

自己資本比率は約73%となっており財務体質は非常に健全な水準にあると言えます。

市場性のある有価証券について

まず資産のうち大きな割合を占めているのが有価証券です。金額にして11兆円以上もあります。Googleでは余剰資金はなるべく有価証券に投資をして運用をしているようで、その内訳は以下のとおりとなっております。

以上のとおり株式や投資信託の割合は小さく主に債権で運用をしていることがわかります。それもリスクが低い国債の割合が大きいことが分かります。

有形固定資産について

有価証券に次いで大きな金額を占めているのが有形固定資産となっております。有形固定資産の内訳は以下のとおりとなっております。

減価償却累計額が一括で控除されているため、BS計上額の内訳はわかりませんでしたが、土地・建物や情報機器が大きな割合を占めていることが分かります。GoogleはIT企業ですから固定資産をあまり持っていないイメージだったので意外でした。土地・建物は一体どこに保有しているのでしょうか。情報機器はYouTubeやGoogleクラウドで使用しているサーバーやデータセンターに関するものでしょうか。

のれんについて

のれんは約2.2兆円計上されております。金額だけ見ると巨額ですが、総資産が約30兆円あることや余剰資金も豊富にあることから特に心配するほどの水準ではないと思います。

まとめ

今回は世界最大のIT企業のGoogleを傘下にもつAlphabet Inc.を取り上げました。Googleが提供する検索エンジンやYouTubeは毎日利用しており、なんとなくすごい会社なんだろうと漠然と考えていましたが、実際に決算書を読んでみると全てが桁違いの会社であることが実感できました。YouTubeやアンドロイドが収益の中心だと思っていたのですが実際には検索エンジンによる収益が大きな割合を占めていることが分かりました。やはりユーザーが検索した内容に合わせて広告を打つことでユーザーのニーズにマッチした広告を表示できるというのは非常に効率的で収益性が高いビジネスモデルなのでしょう。一方でクラウドやYouYube事業の成長率も著しく今後はこれらの事業が収益の中心となるのかもしれません。

貸借対照表の観点からも財務体質が非常に健全であることが分かりました。成長企業では投資が先行して財務体質が悪化しているケースも多く見受けられますが、Alphabetの場合には投資も活発に行われていますが、それ以上に利益が莫大すぎて資金が余っているような状況にあるようです。

以上よりAlphabet Incは文句なしの優良企業と言えると思います。

総合評価

以上を踏まえ筆者のAlphabet Inc.の財務数値の評価は以下の通りです。