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ビットコインは法定通貨に取って代わるのか?仮想通貨の普及で伸びる業界とは

値上がりを続けるビットコイン

2021年2月19日にビットコインが最高値を更新して時価総額が1兆ドルを突破しました。昨年末以来価格は急上昇を続けており「買っておけばよかった」とチャートを眺めながら悔やむ日々を送っている人も少なくないのではないでしょうか。もちろん私もその一人です。ビットコインの価格がこれだけ高騰しているのは、投機目的で一攫千金を狙う人が多いというだけではなくブロックチェーン技術に基づくビットコインが秘める可能性に対する期待によるところが大きいからだと思います。

今のビットコインの価格はバブルなのか?

株式であれば発行している会社どれだけ利益を計上しているか、どんな資産を持っているかといった事実に基づいて株価が適正な水準であるのか、またはバブル状態であるかをある程度判断することができます。ビットコインは株式ではないためそういった観点での評価はできません。私がビットコインの価格を考える上で判断材料としているのは人口一人当たりのビットコイン価格です。

現在のビットコインの時価総額は1兆ドルなので約100兆円としましょう。現在の世界の人口は約75億人です。ビットコインを世界中の人々で分け合うといくらになるでしょうか。

100,000,000,000,000円÷7,500,000,000人=13,3333円となります。

今後ビットコインが普及し、世界中の人々が持つようになった時、各人がどれだけビットコインを持ちたいと思うか、それによってビットコインの価格は決まると考えられます。世界の人々がビットコインを13万円ぐらい持ちたいと思うのであればビットコインの時価総額は今の10倍になるでしょうし、1,300円ぐらいであれば今の価格の10分の1ぐらいにまでビットコインの価格は落ちるでしょう。

ビットコインは法定通貨に代わり得るのか?

長期的にはビットコインの価格はビットコインがどれだけ普及するかどうかによって大きく左右されるでしょう。ドルや円といった法定通貨を誰も持たなくなり、世界中の人がビットコインだけを使うようになればビットコインの価値は100倍、1000倍といったレベルで高騰するでしょう。

しかしビットコインが法定通貨に替わることは無いと考えられます。人々がビットコインを使うようになり法定通貨が力を持たないような事態になれば、国家が力を持たない事態に陥ってしまいます。そんなことを各国政府が許すはずはありません。様々な規制を行うことによりビットコインの普及を阻止するのではないかと思います。まず課税を強化することが考えられます。海外の取引所で口座開設することを禁止することで各国民がどれだけ仮想通貨を持っているかトレースができるようにできます。これによって確実に課税を行うことができるようになるはずです。ビットコインで給料を払うことを禁止すれば多くの人が法定通貨を使用し続けることになるでしょう。ビットコインは規制をすることができないとよく言われていますが、国家権力によって間接的な規制は十分に可能であると考えられます。

民主国家であれば国民の総意によって法定通貨を廃止して、ビットコインを新たな通貨として定めることは不可能ではないでしょう。しかしそんなことをしてしまえば江戸時代以前の状態に逆戻りです。中央銀行に相当する組織がなかった江戸時代は金や銀を通貨として使用していました。疫病や災害により不景気が訪れた時に人々がお金を溜め込んでしまい、さらに景気が悪くなるという悪循環が発生してしまいます。そんなときに中央銀行があれば金融政策により市中にお金を供給することにより景気を刺激し景気回復を早めることができます。法定通貨を廃止してビットコインを使うことになれば中央銀行に相当する組織は無いので不景気の時に金融政策を打つことができず困ってしまうでしょう。

以上のことからビットコインが法定通貨に替わるほどに普及することは考えにくいと私は考えます。とはいえビットコインは送金が早い、手数料が安いといったメリットがあるようですので、投資対象としてだけではなく一部決済手段としてある程度普及する可能性は十分あると考えます。

ビットコインの普及で伸びる業界

これまで述べてきた通りビットコインは法定通貨に替わり得るほどには普及はしないものの、決済手段の一つとしてある程度普及するのでは無いかと考えられます。ビットコインを使った送金のメリットは早くて手数料が安いことです。この強みを生かすことができるのは国際送金です。現状では国際送金の手数料は高く、時間がかかります。ビットコインの普及によって国際送金が容易になり、個人レベルでこれまで以上に活発に海外へ送金するという時代が来ると思われます。このような送金に関するブレイクスルーによりインターネット通販、クラウドファンディングの2つの業界が大きく伸びるのでは無いかと考えられます。

ビットコインの普及によって、海外の会社への支払いのハードルが大幅に引き下げられます。それによって個人が海外の通販サイトを利用して物を買うことが容易にできるようになるでしょう。現状では世界中の人々がアクセスする通信販売サイトはほとんどないように見受けられます。Amazonであっても、日本は日本のAmazonのサイト、アメリカはアメリカのAmazonのサイトです。このように海外の通信販売サイトで物を買わないのは配送コスト面でのハードルも大きいと思いますが、決済面でのハードルも同じぐらいあると考えられます。ビットコインの普及によって決済面でのハードルが下がれば、個人が海外の通信販売サイトで物を買うのが当たり前になる日が来るかもしれません。

伸びそうな分野の2つ目がクラウドファンディングです。こちらもインターネット通販と同様に現状では海外の案件に対しては支援をしたくても決済面でのハードルがあるのではないかと考えられます。ビットコインが普及すれば世界中の支援を求めている人に対してビットコインを使って資金を送ることができるようになります。そのためクラウドファンディングは大きく伸びることが予想できます。

現状の銀行を介した送金スキームでは決済に手数料と時間がかかるため、個人レベルで小額の国をまたいだ決済というのがあまり行われていない状況にあります。ビットコインの普及によって決済のハードルが下がることによって個人が海外の物を買ったり、送金を行うことが容易になることから今まで以上に物やお金が国をまたいで移動するようになることが想定できます。

まとめ

今のビットコインの価格はバブルかどうかは未来の人のみぞ知ることができるでしょう。2017年の年末にビットコインが200万円をつけた後に、暴落した際には仮想通貨バブルと言われました。しかし今のビットコインの価格が500万円を超えていることを考えればバブルではなかったとも言えます。将来人々がビットコインをどれだけ使うか、それによって適正価格が決まると考えれば、現時点でのビットコインの適正価格は誰にも判断ができないのです。