日本企業の分析

株式会社電通グループ 決算分析

株式会社電通グループってどんな会社?

株式会社電通グループの会社概要は以下の通りとなっております。

株式会社電通グループは国内最大の広告代理店です。最近では海外事業にも力を入れている会社です。

各種指標及び株価の推移

株価の推移

2020年12月から過去5年間の株価の推移は以下の通りとなっております。

株価は下落傾向にあることが分かります。

各種指標(2020年12月時点)

株価収益率(PER) - 倍 

株価純資産倍率(PBR)  1.13倍 

2020年12月期は赤字決算であったため株価収益率は算定不能です。

損益計算書分析

株式会社電通グループのの2020年12月期の連結損益計算書の概要は以下の通りです。

電通の主力事業は広告の仲介です。広告主である顧客から受け取る対価から広告の掲載先であるメディアに支払う費用を差し引いた金額を収益として認識しております。そのため粗利率は88.9%と非常に高くなっております。

構造改革費用、減損損失の計上により2020年12月期は1,522億円の赤字決算となっております。

売上高の内訳

事業別の売上の内訳は以下の通りとなっております。

広告事業が売上の9割以上を占めております。情報サービス事業は子会社の電通国際情報サービスを通じて事業を展開しております。

地域別の売上の内訳は以下の通りです。

国内向けの売上が半分以下となっており、海外向け売上の方が大きいことが分かります。

販管費の内訳

電通グループの販管費の内訳は以下の通りとなっております。

販管費の約65%を占めるのは従業員給付です。固定費が大きい費用構造になっていることがわかります。償却費は買収した子会社の無形資産の償却費が計上されているのではないかと想定できます。

連結貸借対照表分析

株式会社電通グループの2020年12月期の連結貸借対照表の概要は以下の通りとなっております。

資産総額は約3.3兆円となっております。広告の仲介を行っているため、営業債権と債務が大きくなっております。

有形固定資産は2,801億円となっております。最近売却することで話題になっていた本社ビル関連の計上額は約1,800億円となっております。

のれんについて

電通はIFRSを採用しているためのれんの規則的償却は行なっておりません。IFRSではのれんを償却せず、減損テストを行い超過収益力が失われている場合に減損損失を認識するという規定になっております。

電通では2019年12月期に約700億円、2020年12月期に約1,400億円の減損損失を認識しております。海外事業が当初の想定よりもうまくいっていないようです。

2020年12月期末時点で約6,000億円ののれんが計上されており、今後も追加で減損が発生するリスクがある点には留意が必要です。

博報堂との比較

以下は電通の国内事業と博報堂の媒体別の売上高です。それぞれの会社で集計方法等が異なる可能性があります。正確な検証はできませんが、大まかな比較はできるでしょう。

2社で大きな違いはインターネット向けの広告の売上です。電通はテレビ向けの売上が大きな割合を占めているのに対して、博報堂はインターネット向け広告の売上の割合が高くなっています。

まとめ

今回は国内最大の広告代理店である株式会社電通を取り上げました。のれんの減損により赤字決算が続いています。本業で稼ぐ力はまだまだ残っているように思えます。とはいえテレビ向けの広告は今後も縮小傾向が続くことが予想されます。海外向けや、広告事業で培った知見を生かしたコンサルティングやマーケティング支援事業に活路を見出すことに期待をしたいです。

総合評価

以上を踏まえ筆者の株式会社電通グループの財務数値の評価は以下の通りです。