日本企業の分析

株式会社ファーストリテイリング 決算分析

ファーストリテイリングってどんな会社?

会社概要

ファーストリテイリングの会社概要は以下のとおりです。

会社の概要
  • 本社所在地:山口県山口市
  • 設立:1963年
  • 事業内容:カジュアルウェアの企画販売
  • 売上高:2兆1,329億円(2021年8月期)
  • 従業員数:55,589人(2021年8月期)

個人商店として始まり、1984年に広島にユニクロの第1号店を出店しました。その後フリースやヒートテック等のヒット商品を生み出して世界的なカジュアルウェアブランドにまで成長しました。

株価の推移

ファーストリテイリングの2021年8月から過去5年間の株価の推移は以下のとおりです。

株価はコロナショックの後に大きく上昇しましたが直近は低迷傾向にあるようです。

損益計算書分析

ファーストリテイリングの2021年8月期の連結損益計算書の概要は以下のとおりとなっております。

もう少し詳しい損益計算書はこちら

粗利率は約50%、営業利益率は11.7%となっております。競合他社のしまむらの粗利率は約30%となっております。

ファーストリテイリングは製品を自社で企画し、委託先の工場で大量生産しているため低価格でも高い利益率を実現しています。ファーストリテイリングの売上の内訳は以下のとおりとなっております。

売上高の内訳

ファーストリテイリングの2021年8月期の売上高の内訳は以下のとおりです。

国内ユニクロ事業、海外ユニクロ事業がそれぞれ4割を占めています。海外ユニクロ事業は中国向けの売上が半分以上を占めています。

ジーユーはユニクロよりもさらに低価格の衣料品を販売するブランドとして2006年に事業をスタートしました。当初はあまりうまくいっていなかったようですが今ではすっかり定着をしている印象があります。

各事業の利益は以下のとおりとなっております。

国内ユニクロ事業が最も利益率が高いことがわかります。ジーユーは低価格ということもあり利益率は低いようです。

販管費の内訳

ファーストリテイリングの2021年8月期の販管費の内訳は以下のとおりとなっております。

人件費が最も大きな割合を占めています。国内のユニクロの店舗だけでも800近い店舗を展開しておりアルバイトを含めて10万人以上の人員を抱えています。

ついで大きな金額を占めるのは減価償却費です。IFRSを適用しているため、店舗賃料が使用権資産として計上され、償却費が発生しています。地代家賃も含めて考えると、かなり大きな金額が店舗賃料として計上されていることが想定されます。

販管費は固定費が大きい費用構造となっていることが推定できます。

業績の推移

ファーストリテイリングの2021年8月期から過去5年間の業績の推移は以下のとおりとなっております。

2019年8月期までは順調に売上と利益を拡大していましたが2020年8月期は新型コロナウィルスの影響を受けて落ち込んでしまっております。

とはいえ、あれだけ外出自粛が呼びかけられていた中でも売上の減少はそれほど大きくなく、黒字を確保しており業績はかなり安定していることが分かります。

ファーストリテイリングの2021年8月期の損益計算書のポイントは以下のとおりです。

貸借対照表の分析

ファーストリテイリングの2021年8月期のの連結貸借対照表の概要は以下のとおりとなっております。

資産総額は約2.5兆円となっており、そのうち1.1兆円が現預金であるため手元資金は余裕がありそうです。

棚卸資産回転期間は4.4ヶ月となっております。次のシーズンに店舗に並ぶものまでは在庫として持っているというような在庫状況であることが伺えます。

使用権資産とリース負債は大部分が店舗の賃貸契約に関連して計上されているものであることが想定されます。

自己資本比率は46%となっており財務体質は健全な水準にあります。

まとめ

今回はユニクロ、ジーユーを展開するファーストリテイリングを取り上げました。高品質のカジュアルウェアを安く購入できるため私もよく利用しています。分析をしてみて意外だったのが海外売上の割合が半分以下であるという点です。2001年にイギリスに出店して以来、世界各国に店舗を展開してきました。海外のファストファッションブランドでは急拡大を行い失敗した事例もありますから、急がず着実に規模を拡大していっているということかもしれません。海外事業でも国内事業と同水準に利益を計上しています。商品力があるため今後も成長が見込める企業だと思います。

総合評価

以上を踏まえ筆者のファーストリテイリング株式会社の財務数値の評価は以下の通りです。