日本企業の分析

株式会社学情 決算分析

株式会社学情ってどんな会社?

株式会社学情は東京都中央区に本社を置く就職情報事業を行なっている会社です。2019年10月期の売上高は70億円、従業員数は260人となっております。1977年に広告代理店として実鷹企画を設立して事業をスタートしました。現在の主要な事業である就職情報事業は1981年に開始をしております。2005年に東証二部に上場を果たしました。

各種指標及び株価の推移

株価の推移

株式会社学情の2019年10月から過去5年間の株価の推移は以下の通りとなっております。

株価は上がり下がりを繰り返しているようです。

各種指標(2019年3月時点)

自己資本比率 88.6%

株価収益率(PER) 16.29倍 

株価純資産倍率(PBR)  2.09倍

自己資本比率は88.6%と非常に高い水準にあり財務体質は健全なようです。株価純資産倍率は2倍を超えており株式市場から一定の評価が得られていることが分かります。

損益分析

株式会社学情の2019年10月期の損益計算書の概要は以下のとおりです。

粗利率は67%、営業利益率は27%と非常に利益率が高くなっております。

売上高から営業利益までをもう少し詳細に見ていきましょう。

主な事業内容と売上高の内訳

株式会社学情の主な事業内容と売上高の内訳は以下のとおりです。

上記の通り株式会社学情は新卒採用集合品、新卒採用個別品、中途採用商品の3つの事業を行なっております。

最も大きな割合を占めているのが、新卒採用集合品となっております。約36億円の売上高のうち約27億円が就職博という合同企業説明会に関する事業により計上されているようです。合同企業説明会は出展を希望する企業の出展料が主な収入源になると考えられます。就職博は年間延べ20万人の学生が参加し7,000社もの会社が出展しているようです。合同企業説明会としての地位を確立しているため毎年出展している企業も多いでしょうからある程度安定した収益が見込めると思います。

次いで大きいのが中途採用商品です。最近TVコマーシャルでよくみかける20代専用の転職サイト「Re就活」を運営している事業となっております。収益源ははっきりとは分かりませんでしたが、一般的には転職サイトへの掲載料や転職サイトを通じて採用が決まった際の成功報酬が主な収益源となっていることが想定できます。

売上原価の内訳

株式会社学情の2019年10月期の売上原価の内訳は以下の通りとなっております。

その他が多くなっており詳細がわかりませんが、会場費や発送費といった合同企業説明会に関連して発生している費用が多くなっていることが分かります。事業の性質から考えて固定費が中心の費用構造だと考えられます。

販管費の内訳

株式会社学情の2019年10月期の販管費の内訳は以下のとおりとなっております。

販管費のうち約半分が人件費となっております。合同企業説明会を開催したり就職情報サイトの運営には多くの人員が必要なのでしょう。人件費は固定費の性質が強い費用となっております。次いで大きいのが販売促進費となっております。主に広告宣伝費でしょう。電車でよくみる合同企業説明会の広告やRe就活のテレビコマーシャルに関する費用も販売促進費に計上されているはずです。

売上高の推移

株式会社学情の売上高の内訳と推移は以下の通りとなっております。

最も大きい売上を占める新卒採用集合品も少しずつ売上は増加傾向にありますが、特に伸びているのが中途採用商品です。Re就活が特に好調に推移しているようです。

貸借対照表分析

株式会社学情の2019年10月期の貸借対照表の概要は以下の通りとなっております。

負債がほとんどなく、現預金も潤沢にあり財務体質は非常に健全です。投資有価証券が約40億円分計上されておりますが、ほとんどが株式ではなく債券で運用されているようです。事業の性質上固定資産もほとんど必要としないため、資産のほとんどが予備資金等となっております。

固定資産は減損リスクがありますから固定資産がほとんどないのは投資家目線では魅力の一つとなります。

まとめ

今回は就職情報事業を行なっている株式会社学情を取り上げました。学情を取り上げたのはRe就活のテレビコマーシャルを見たのがきっかけでした。調べる前までは新興のベンチャー企業というイメージでしたが歴史もあり手堅く事業を拡大している会社だということが分かりました。事業ポートフォリオの観点からも成熟事業である就職博があり、成長事業の中途採用事業のRe就活も順調に利用者数が伸びており今後が楽しみな会社だと感じました。日本企業の雇用形態が大きく変化している中で転職をする人は今後も増えることは間違えないと思います。ここ数年で転職サイトも技術系専門のものや、管理部門専門のものといったように特化型の転職サイトが増えてきていると思います。こういった流れの中で学情が展開するRe就活が20代専門の転職サイトとしての地位を固めることができれば、今後大きな成長が期待できるのではないでしょうか。

総合評価

以上を踏まえ筆者の株式会社学情の財務数値の評価は以下の通りです。