日本企業の分析

株式会社カネカ 決算分析

株式会社カネカってどんな会社?

株式会社カネカは化成品や樹脂製品といった化学品や、繊維、医療機器、食品等様々な製品を取り扱うメーカーです。1949年に鐘淵紡績株式会社の繊維部門以外の全ての事業を引き継いで設立されました。2019年3月期の連結売上高は6,210億円、連結従業員数は10,571人を抱える大企業です。

各種指標及び株価の推移

株価の推移

株式会社カネカの過去5年間の株価の推移は以下の通りとなっております。

2015年の年末ごろに一時急騰しているようですが、株価は比較的安定して推移していることがわかります。

各種指標(2019年3月時点)

自己資本比率 55.8%

株価収益率(PER) 15.58倍 (東証一部平均 15.9倍)

株価純資産倍率(PBR)  1.09倍 (東証一部平均1.2倍)

自己資本比率は55.8%となっており比較的健全な水準にあることが分かります。株価収益率と株価純資産倍率は東証一部平均に近い値となっており市場からは一定の評価を得ていることが分かります。

損益分析

株式会社カネカの2019年3月期の連結損益計算書の概要は以下の通りとなっております。

売上と粗利率について

株式会社カネカの地域別の売上高は以下の通りとなっております。

カネカの売上高の約6割は国内向けの売上高です。アジア向けも2割弱を占めており、海外向けの売上高は増加傾向にあるようです。

粗利率は28.1%となっております。過年度からの粗利率と為替レートの推移は以下の通りとなっております。

上記のグラフを見る限りでは、為替レートと粗利率には相関関係があるように思えます。海外向けの売上も多く円安になると粗利率が良くなっているように見えます。海外向けの販売は外貨建ての契約になっているものが多いのかもしれません。

販管費について

株式会社カネカの販管費の内訳は以下の通りとなっております。

最も大きい費目は荷造運搬費となっています。これは変動費の性質が強い費用です。研究開発費も約290億円計上されております。化学メーカーで、取り扱い品種も多いため研究開発にも多くの投資をしていることが分かります。

貸借対照表分析

株式会社カネカの2019年3月期の連結貸借対照表の概要は以下の通りです。

流動資産>流動負債となっており、安全性には問題はなさそうです。目立つのは固定資産が大きい点です。後のセグメント別の分析でも説明しますが、カネカは様々な製品を取り扱っているため、様々な製造設備を保有する必要があり固定資産が多く計上されているようです。

セグメント別分析

株式会社カネカは「Material Solutions Unit」「Quality of Life Solutions Unit」「Health Care Solutions Unit」「Nutrition Solutions Unit」の4つを報告セグメントとして識別しており、各セグメントの主要製品は以下の通りとなっております。

非常に取り扱い品種が多いことが分かります。セグメント別の売上高と利益は以下の通りとなっております。

全てのセグメントが黒字となっております。ヘルスケア関連は利益率が高くなっています。食品関連は競合他社が強いためか、利益率は低いことが分かります。栄養食品として有名でカネカがトップシェアを握っているコエンザイムQ10はNutorition Solutions Unitに含まれているようです。

まとめ

今回は大手化学品メーカーの株式会社カネカを取り上げました。カネカの良いところは非常にバランスがいいところではないかと思います。化成品、太陽電池、化学繊維、医療品、食品等様々な製品を取り扱っているため会社の業績が急激に悪化してしまうことは考えにくいでしょう。販売地域も国内を中心に、アジア、北米、欧州にバランス良く売り上げております。アジアを中心に海外売上も増加傾向にありますから今後も堅調に事業を拡大していくことを期待したいです。

総合評価

以上を踏まえ筆者の株式会社カネカの財務数値の評価は以下の通りです。