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三井不動産VS住友不動産 決算数値の比較

今回はライバル企業比較をしていきたいと思います。業界地図では不動産デベロッパーの順位は三井不動産が第1位、住友不動産が第3位となっておりましたが実際にはどちらの方が大きい会社なのでしょうか。またそれぞれの会社の特徴を見ていきたいと思います。

三井不動産株式会社ってどんな会社?

三井不動産株式会社は東京都中央区に本社を置く大手不動産会社です。旧三井合名会社の不動産の経営を主たる目的として1941年に設立されました。もともとオフィスビルの賃貸が主な事業でしたが、その後住宅の建設分譲事業や商業施設の賃貸事業等様々な事業に進出をしております。2019年3月期の連結売上高は1兆8611億円、連結従業員数は19,081人となっております。

住友不動産ってどんな会社?

住友不動産株式会社は東京都新宿区に本社を置く大手不動産会社です。財閥解体により株式会社住友本社の不動産部門を承継する会社として設立されました。東京No.1オフィスビル、マンション供給戸数No.1を掲げており、オフィスやマンションに強みを持っている会社です。2019年3月期の連結売上高は1兆132億円、連結従業員数は12,238人となっております。

業績等の概要

三井不動産と住友不動産の業績等の概要は以下のとおりとなっております。

売上、利益、総資産、従業員数の全てにおいて三井不動産が住友不動産を上回っていることがわかります。やはり業界地図の通り会社の規模としては三井不動産の方が大きいことがわかります。

売上高の内訳

大手デベロッパーはオフィスビルの賃貸をはじめとして商業施設の賃貸、マンション販売、戸建て販売、賃貸物件の管理等の様々な事業を行なっております。決算書のセグメント情報に基づいて両者の売上高の内訳を見ていきましょう。(セグメント情報は各社の内部管理用の区分に基づいて開示している箇所であるため、区分方法は会社によって異なっております。)

三井不動産の売上高の内訳

三井不動産株式会社の2019年3月期の売上高の内訳は以下のとおりとなっております。

賃貸、分譲がそれぞれ3割ずつとなっております。マネジメントは賃貸物件の管理や不動産仲介事業を行なっている事業です。

住友不動産の売上高の内訳

住友不動産株式会社の2019年3月期の売上高の内訳は以下のとおりとなっております。

住友不動産においても不動産賃貸、不動産販売が大きな割合を占めていることがわかります。三井不動産ではマネジメント事業が大きな割合を占めていましたが、住友不動産においては管理業務の請負はあまり力を入れていないようです。完成工事事業はオフィスビルやマンションの建設、改修工事の請負事業を行なっております。新築そっくりさんで有名なリフォーム事業もこの完成工事事業に入っているようです。

有形固定資産の簿価比較

不動産会社で最も大切な資産である有形固定資産の簿価を比較してみましょう。三井不動産と住友不動産の2019年3月期の固定資産の内訳は以下のとおりです。

意外なことに有形固定資産の簿価は住友不動産の方が少し大きくなっております。

関連する賃貸事業の業績は以下のとおりとなっております。

2社の賃貸事業の利益はだいたい同じぐらいの金額であることがわかります。一方で売上高については三井不動産の方が大きくなっております。有形固定資産の簿価は同じぐらいなのになぜ賃貸事業の売上高はこれほどの差が生じてしまうのでしょうか?

以下は賃貸事業の賃貸用資産のうち自社所有と転貸の内訳です。

以上の通り賃貸面積は三井不動産の方が大きくなっていますが、転貸の割合が高くなっていることがわかります。転貸はオーナーさんから借りた物件を貸し出すことで、賃料の差額で利益を得るビジネスです。投資リスクをオーナーさんが追っているぶん利益率は低くなることが予想できます。

もう一点注目すべきポイントとしては、自社所有の物件の面積は住友不動産の方が大きいにもかかわらず、建物及び構築物の簿価は住友不動産の方が小さくなっている点です。このことから住友不動産の方が償却が進んでいる物件が多いことが推定できます。

含み益の比較

不動産について貸借対照表に計上されている金額は買った値段から減価償却費や減損損失を控除した金額です。一方で不動産は景気の動向により値上がりしたりすることもあるため貸借対照表に計上されている金額と時価は大きく乖離している場合がほとんどです。三井不動産や住友不動産のように多額の不動産を所有している会社であれば、簿価と時価の乖離額は非常に大きくなります。

上記の通り2社の保有不動産には共に2.5兆円を超える巨額の含み益が発生していることが分かります。三井不動産の方が少しだけ含み益が大きくなっているようです。

資金調達方法の比較

以上より2社ともに巨額の不動産を保有していることがわかりましたが、これらの不動産を買うための資金はどのように調達しているのでしょうか。貸借対照表の貸方側の負債、純資産の部に注目していきましょう。

三井不動産と住友不動産の2019年3月期の連結貸借対照表の負債、純資産の部の概要は以下のとおりとなっております。

上記の通り三井不動産の方が自己資本比率が高く借入金への依存度が低いことがわかります。それにしても両社ともに3兆円近い金額を借入や社債によって調達しているのはすごいですね。銀行としても不動産が担保になっているため貸しやすいのかもしれません。

実は借入金がどれぐらいの利率で借りているかも、決算書から確認することができます。両者の借入の概要は以下の通りとなっております。

両者共に銀行からの借入が大部分を占めているようです。注目すべき点は利率です。住友不動産の方が低い利率で調達していることがわかります。両者の信用力に大きな差は無いでしょうから、主に借入のタイミングの金利の市況による影響が大きいと思います。住友不動産は金利が低いタイミングで多くの資金調達ができたのでしょう。仮に2兆円の資金を調達すると仮定した場合1%違うだけで年間200億円もの差が生じますから、資金調達のタイミングは非常に重要です。

過去10年間の業績の推移

三井不動産と住友不動産の過去10年間の業績の推移は以下のとおりとなっております。(売上:左軸 利益:右軸 単位:百万)

2社ともに過去10年間で売上と利益は増加傾向にあることがわかります。特に三井不動産の利益は大きく増えていることがわかります。

まとめ

今回はライバル企業比較ということで三井不動産と住友不動産を比較してきました。やはり業界首位である三井不動産はオフィスの賃貸だけではなく、マネジメント事業や三井ホーム事業等多くの事業を手掛けており、決算数値という判断基準でも住友不動産よりも大きい会社であると言えると思います。ただ、主力事業である賃貸事業だけで見れば住友不動産は互角またはそれ以上の実力のある会社ではないかと思います。住友不動産が所有しているオフィスビルは東京23区内のに所在しており、利益率も高くなっております。またサラリーマンの平均所得が減少する中で新築そっくりさんのリフォーム関連事業は今後も伸びていくことが期待できます。