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5分で分かる! NYダウとは

NYダウとは

NYダウとはアメリカの株価指数の一つです。NYダウは通称でありダウ工業株30種平均と呼ばれたり、単にダウと呼ばれることもあります。正式名称は「Dow Jones Industrial Average」です。NYダウの歴史は古く1986年にウォール・ストリートジャーナルの編集者のチャールズ・ダウ氏によって初めて算定されました。ダウ氏の仕事仲間であり統計学者のエドワード・ジョーンズ氏が名前の由来となっています。

現在はS&P dow Jones Indices LLCという組織によって構成銘柄の選定等の管理が行われております。S&P Dow Jones Indices LLCは格付け会社のS&P、デリバティブ取引所を運営するCMEグループ、大手メディアのNews Corpの3社が共同出資により設立された組織です。

NYダウの構成銘柄

NYダウは米国を代表する30社により構成されております。構成銘柄は定期的に入れ替えられており2021年3月現在の構成銘柄は以下のとおりとなっております。

アップル (IT・通信)アムジェン (医療関連)
アメリカン・エキスプレス (金融)ボーイング (工業)
キャタピラー (工業)セールスフォース・ドットコム (IT・通信)
シスコシステムズ (IT・通信)シェブロン (エネルギー)
ダウ・ケミカル (原材料・素材)ウォルト・ディズニー (サービス)
ゴールドマン・サックス・グループ (金融)ホーム・デポ (サービス)
ハネウェル・インターナショナル (一般消費財)IBM (IT・通信)
インテル (IT・通信)ジョンソン・エンド・ジョンソン (医療関連)
JPモルガン・チェース・アンド・カンパニー (金融)コカ・コーラ (一般消費財)
マクドナルド (サービス)3M (医療関連)
メルク (医療関連)マイクロソフト (IT・通信)
ナイキ (一般消費財)プロクター・アンド・ギャンブル (一般消費財)
トラベラーズ (金融)ユナイテッドヘルス・グループ (金融)
ビザ (金融)ヘライゾン・コミュニケーションズ (IT・通信)
ウォルグリーン・ブーツ・アライアンス (サービス)ウォルマート (サービス)

工業関連の銘柄で構成されている?

上記の構成銘柄を見てお分かりだと思いますが、30銘柄にはITや金融、医療といった様々な業種が含まれており工業だけが構成銘柄として選定されているわけではありません。NYダウが発表された当初は工業に関する銘柄がほとんどすべてを占めておりましたが、現在では工業関連の株は半分以下となっているようです。

時価総額が高い銘柄で構成されている?

構成銘柄をみるといずれも時価総額が10兆円を超えるような超大企業が名を連ねております。一方でアップルに次ぐ時価総額を誇るアマゾンやFacebookといった企業は構成銘柄には含まれておりません。

小売事業大手のウォルマートよりも時価総額が高いAmazonを構成銘柄にした方がいいようにも思えます。NYダウは構成銘柄30社で株式市場全体の動向を表現したいという狙いがあると思います。確かにAmazon自体は非常に大きな会社です。しかしネット通販よりもまだまだリアル店舗の方が市場規模は大きいでしょうから、リアル店舗でビジネスを展開するウォルマートを構成銘柄に選定することで小売業全体の株価動向をよりよく反映できると判断しているのでしょう。

NYダウは時価総額が高い会社から30社を選んでいるというわけではありません。

NYダウの算定方法

NYダウはどのように算定されているのでしょうか。実はかなり単純な計算式で算定をしております。具体的な計算式は以下のとおりです。

上記の通り30社の株価の合計を除数で割るだけです。除数は構成銘柄の入れ替えや株式分割があった際に、その影響を排除する役割を果たしています。数値例を用いて説明をすると以下のとおりです。単純化のためNYダウが30社ではなく3社で構成されていると仮定します。

上記の通り仮に除数による調整がない場合、構成銘柄を株価の高いD社に入れ替えるだけでNYダウが上昇してしまいます。景気動向ではなく銘柄を入れ替えただけで上昇してしまっては株価指数としての機能を果たせなくなってしまいます。そこで銘柄入れ替えによる影響を排除する役割を果たすのが除数です。

銘柄を入れ替えたことにより株価合計が30から40へ上昇してしまいました。そのため除数を3から4へ変更してあげることで、NYダウは従来通り10のままとなり、銘柄入れ替えによる影響を排除することができます。

以上により除数の役割とNYダウの計算方法について理解いただけたでしょうか。

実際に計算して見た

Wikipediaによると2020年9月時点の除数は約0.152ということでした。構成銘柄の株価を基に計算した結果は以下のとおりです。

実際の9月30日のNYダウの終値は27,905ドルとなっており、算定した値と概ね一致をした結果となりました。

まとめ

今回はアメリカを代表する株価指数の一つであるNYダウを取り上げました。NYダウという言葉は聞いたことはあるものの、算定方法や構成銘柄については知らなかったという人も多いのではないでしょうか。私は調べる前までは工業系の銘柄で構成されているものと誤解をしておりました。

算定方法を見て鋭い方はお気づきだと思いますが、NYダウは算定にあたり時価加重を行なっていないという特徴があります。時価がそれほど大きくない銘柄であっても、単に株価が大きいというだけでNYダウに対して大きな影響を与えてしまいます。時価加重をしていないという点で株価指数としては欠陥があるように思いました。NYダウは構成銘柄こそ絶えず入れ替えてはいるものの計算方法は120年以上前に発明されたものです。時価加重もしていないものが現在も代表的な株価指数として使われていることには少し驚きました。この記事を通してNYダウについて少しでも理解を深めていただければ幸いです。