日本企業の分析

株式会社サンマルクホールディングス 決算分析

株式会社サンマルクホールディングスってどんな会社?

株式会社サンマルクホールディングスは岡山県に本社を置くサンマルクカフェや鎌倉パスタなどのカフェやレストランを展開している会社です。1989年にベーカリーレストラン・サンマルク1号店を出店したのが始まりでその後規模を拡大し2002年に東京証券取引所2部に上場を果たしました。2019年3月期の連結売上高は700億円、連結従業員数は830人(社員数)となっております。海外にも出店しておりますが、売上高のほとんど全てが国内向けとなっております。

各種指標及び株価の推移

株価の推移

2019年3月から過去5年間の株価の推移は以下の通りとなっております。

2015年頃に株価は一時4,000円を超えましたがその後、下落したまま低迷しているようです。

各種指標(2019年3月時点)

自己資本比率 79.1%

株価収益率(PER) 18.87倍 (東証一部平均 15.9倍)

株価純資産倍率(PBR)  1.13倍 (東証一部平均1.2倍)

自己資本比率は79.1%とかなり高い水準にあり財務体質は健全なようです。株価収益率と、株価純資産倍率は東証一部平均に近い値となっており市場からの期待はまずまずなようです。

店舗数の内訳

業態別内訳

株式会社サンマルクホールディングスは様々な業態の店舗を展開しています。その内訳は以下の通りとなっております。

サンマルクホールディングスの事業はレストランと喫茶の2つに大きくわけることができます。レストラン部門は、生麺が売りの鎌倉パスタや焼きたてパンが売りのバケットやサンマルクを展開しております。喫茶はサンマルクカフェと倉敷珈琲店を展開しています。全916店舗のうち、レストランが457店舗、喫茶が459店舗とちょうど半々となっています。

地域別内訳

サンマルクホールディングスの地域別の店舗の内訳は以下の通りとなっております。店舗の形態には直営店とフランチャイズ店があり内訳は以下の通りです。

岡山県に本社がありますが、中国地方に多くの店を展開しているというわけではなく、関東、関西といった人口が多い地域に多くの店舗を展開していることが分かります。またフランチャイズ形態の店舗も設けておりますが、ほとんどのお店は直営店のようです。

損益分析

株式会社サンマルクホールディングスの2019年3月期の損益計算書の概要は以下の通りとなっております。

粗利率は78%と驚異的な高さとなっております。飲食業界の中でも原価率が低いカフェやパスタ屋が事業の多くを占めていることが要因でしょう。その分販管費が高いため、営業利益率は9%です。

利益率の低下について

サンマルクホールディングスは利益面では少し苦戦しています。4年前の損益計算書との比較は以下の通りとなっております。

売上高はこの3年間で608億円から700億円に約15%増加している一方で営業利益は減少しています。原因は売上の増加以上に販管費が増加しているためです。

販管費の比較

販管費の主要な費目の内訳は以下の通りとなっております。

販管費のうち、給与及び賞与と賃借料が6割以上を占めています。この給与及び賞与がこの3年間で28%近く増加していることが分かります。売上の増加率が15%であるのに対して、人件費が大きく増加していることが利益率が低下している要因です。

人件費について少し詳細に見ていきましょう。2016年と2019年の人件費の比較は以下の通りです。

(パートの人数は1日当たり8時間換算)

従業員すう全体の伸び率は約16%となっており、売上の伸びとほとんど同じぐらいの水準となっています。一方で一人当たりの人件費は約10%も増加しております。最近では人手不足でアルバイトが集まりにくい状況が続いており、時給は上昇傾向にあります。サンマルクホールディングスにおいても同様のようで、人件費の増加が利益率の低下に大きく影響を与えていることが分かります。

まとめ

今回はレストランやカフェを展開する株式会社サンマルクホールディングスを取り上げました。飲食業ということもあり費用の構造としては、人件費、賃借料、減価償却費といった固定費が大きいため、売上の減少に対して弱い費用構造となっています。浮き沈みが激しい飲食業でサンマルクホールディングスはサンマルクカフェ、鎌倉パスタといった複数の業態の店舗を抱えています。業績の安定性という意味では大きな強みとなっていると思います。

最近では人件費の高騰が利益を圧迫しているようです。若年人口の減少もありパート・アルバイトの確保が難しい状況は続きそうです。そのため人件費は高止まりするのではないかと思います。もともと利益率が高い優良企業ですのでちょっとしたことでは赤字に転落することはないと思いますが、人件費の上昇部分をうまく価格に転嫁することが今後の課題となっていくでしょう。