日本企業の分析

株式会社ユナイテッドアローズ 決算分析

株式会社ユナイテッドアローズってどんな会社?

株式会社ユナイテッドアローズは東京都渋谷区に本社を置く衣料品等の仕入れ、販売を行なっている会社です。2020年3月期の連結売上高は1,574億円、連結従業員数は4,848人となっております。社名となっているユナイテッドアローズの他にもフィーゴやコーエンといったショップも展開しており、店舗数は359店舗となっております。株式会社ユナイテッドアローズは比較的新しい会社で1989年に設立し、翌年ユナイテッドアローズ1号店の渋谷店をオープンしました。2002年には東京証券取引所市場第二部へ上場を果たしました。

各種指標及び株価の推移

株価の推移

株式会社ユナイテッドアローズの2020年3月期から過去5年間の株価の推移は以下のとおりです。

株価は値動きが激しいようです。直近の株価は新型コロナウィルスの影響を大きく受けてしまい低迷しております。

各種指標(2020年3月時点)

株価収益率(PER)13.86倍 

株価純資産倍率(PBR)  1.2倍

株価収益率と株価純資産倍率は標準的で市場からは一定の評価をされている銘柄であることが分かります。

損益計算書分析

株式会社ユナイテッドアローズの2020年3月期の連結損益計算書の概要は以下の通りとなっております。

粗利率は約50%となっております。アパレル業界は粗利率が非常に高いイメージだったのですが思っていたよりも粗利率は低くなっておりました。ユナイテッドアローズはセレクトショップであるため、自社で製造していないことや有名ブランドの商品を取り扱っていることもあり原価率は高くなっているのでしょう。以下は売上高の内訳です。

ウイメンズ商品のほうが多いようです。シルバー&レザーはクロムハーツ関連の売上となっております。その他の金額が大きくなっておりますが、アウトレット店舗やフィーゴやコーエンといった子会社の売り上げが含まれております。

季節的要因について

アパレル業界は季節により売り上げが変化する業界です。ユナイテッドアローズの各四半期の売上高は以下の通りとなっております。

秋から年末にかけて売り上げが大きくなっております。クリスマスや冬のボーナス等がある12月の売り上げが大きいことが予想できます。しかし思っていたよりも季節的要因による増減は少ないことが分かります。各四半期の原価率は以下の通りです。

原価率は第4四半期が最も高くなっております。冬物のセールの時期なので原価率が高くなっているようです。

販管費について

株式会社ユナイテッドアローズの2020年3月期の販管費の内訳は以下のとおりとなっております。

最も大きな金額を占めているのは賃借料となっております。ユナイテッドアローズのお店は駅直結のビルや一等地にある場合が多いため賃料は非常に高くなっております。店舗によって全然賃料は変わると思いますが、1店舗あたりの賃料を計算してみましょう。店舗数が359店舗ですので225億円÷359店÷12ヶ月=5.22百万円となります。

次いで大きな金額を占めているのは人件費です。店舗の運営には多くの人が必要です。賃料と人件費は固定費の性質が強い費用ですから販管費は固定費が多くを占めていることが分かります。

貸借対照表分析

株式会社ユナイテッドアローズの2020年3月期の連結貸借対照表の概要は以下の通りとなっております。

資産の中で最も大きな金額を占めているのは棚卸資産となっており回転期間は4.3ヶ月となっております。差入保証金は賃貸している店舗に関するものでしょう。年間賃料の1/3程度を差し入れていることが分かります。

借り入れは少なく自己資本比率は約60%となっており財務体質は健全なようです。

まとめ

今回はセレクトショップで有名な株式会社ユナイテッドアローズを取り上げました。アパレル業界は粗利率は高いものの販管費が大きいという費用構造になっております。販管費は固定費が大きいため、リスクが高い費用構造になっております。一方でユナイテッドアローズはセレクトショップですので販売する商品は世界中から仕入れることができます。自社のブランドであれば勢いがあるときは非常に儲かりますが、流行が去ってしまえば大きく落ち込んでしまいます。アパレル業界の中でセレクトショップは比較的浮き沈みが小さい業態なのではないかと思います。ZOZOの台頭により洋服を通信販売で買う人が増えてきています。通信販売によってお店が無い地域の人に販売することができますし、賃借料や人件費がかからないためアパレルと通販は実は非常に相性が良いのでは無いかと思います。。一方で通販が拡大してリアル店舗の売り上げが大きく落ちてしまえば、賃借料や人件費の負担が大きくなってしまいます。通販の拡大にどう対応していくかが今後の業績を大きく左右しそうです。

総合評価

以上を踏まえ筆者の株式会社ユナイテッドアローズの財務数値の評価は以下の通りです。