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NIKE, Inc 決算分析

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NIKE, Incってどんな会社?

NIKE, Incはアメリカ合衆国オレゴン州に本社を置くスニーカーやスポーツ用品の開発販売事業を行っている会社です。2020年5月期の連結売上高は約4兆円、連結従業員数は約75,400人の大企業です。ナイキは1964年にビルナイト氏とビルバウワーマン氏によって、ブルーリボンスポーツ社として事業をスタートしました。創業当初は日本のオニツカタイガーの販売業者として事業スタートしましたが、1972年にナイキブランドの靴を発売し1978年には商号をナイキに変更しました。現在では世界最大のスポーツブランドとなっております。

各種指標及び株価の推移

株価の推移

ナイキの2020年5月期から過去5年間の株価の推移は以下のとおりです。

株価は2015年末に急落して以降は回復傾向にあることが分かります。

損益計算書分析

2020年5月期の連結損益計算書の概要は以下の通りとなっております。ナイキはアメリカの会社ですからドル建てで財務諸表を作成しております。今回の分析では分かりやすさの観点から1ドルあたり107円で換算をしております。

売上高は約4兆円となっており、スポーツ用品メーカーとしても、アパレルメーカーとしても世界で最大レベルの売上高を誇ります。粗利率は43%となっております。比較対象として的確かは分かりませんがユニクロを展開するファーストリテイリングの粗利率は約48%ですから、ユニクロより若干粗利率は低くなっております。ユニクロが自社で店舗を展開しているのに対して、ナイキは自社での店舗展開が少ないことを考えれば利益率は高いと言えると思います。

売上の内訳は以下のとおりとなっております。

売上高の約2/3をスニーカー等の靴が占めていることがわかります。靴の売上が2.6兆円ですから、一足当たり1万円だとすると2億6千万足販売している計算になります。

販管費について

販管費について詳細な内訳は開示されておりませんでした。最も大きな金額を占めているのは広告宣伝費になっております。大きなスポーツイベントのスポンサーになったり、テレビコマーシャルをうったりしてブランドイメージを高めております。それにしても3,843億円もプロモーションに使えるのはすごいです。

それ以外の販管費は人件費が多くなっております。ナイキの売上のうち約2/3は卸売業者を通じた販売ですが、残りの約1/3は自社の販売チャンネルを通じた販売となっております。店舗運営に関するスタッフの人件費等が多く計上されていることが想定されます。

販管費等を差し引いた後の税引前利益率は約7.7%となっております。ちなみに新型コロナウィルスの影響を受ける前の2019年5月期の税引前利益率は12%となっておりました。

貸借対照表分析

2020年5月期の連結貸借対照表の概要は以下のとおりとなっております。

資産総額は約3.3兆円となっております。売上債権の回転期間は約0.9ヶ月、棚卸資産の回転期間は4.1ヶ月となっております。棚卸資産の回転期間が少し長いのが気になります。中国や東南アジアで生産したものを世界中に輸出しているため積送中の在庫が多いのでしょうか。

有形固定資産は約5,200億円となっております。生産は主に外部業者へ委託しているため店舗関連の資産が多く計上されていることが想定されます。

借入金も多く、自己資本比率は約25%と決して高くはありませんが収益力を考えれば全く問題ない水準だと思います

セグメント別分析

ナイキは地域別にセグメントを識別しております。2020年5月期のセグメントごとの業績は以下の通りとなっております。

アメリカ、ヨーロッパ向けの売上が大きくなっております。過去4年間の地域別の売上の推移は以下の通りです。

北アメリカ、アジア等は横ばいとなっておりますが、中国、ヨーロッパ向けは増加傾向にあることが分かります。

まとめ

今回は世界最大のスポーツブランドのNIKE,Incを取り上げました。まず、ナイキがアシックスの代理店からスタートした会社だということに驚きました。スポーツ用品メーカーとしては後発の企業だったにもかかわらず、世界一のスポーツブランドになれたのは品質だけではなく、他社を圧倒する広告戦略にあるのではないかと思います。サッカーやバスケット、テニス等のメジャースポーツの人気選手や強豪チームのスポンサーになることでナイキブランドの価値を高めております。広告宣伝費は年間4,000億円近くにものぼりますが、それを補って余りある収益力で回収しています。

ナイキの決算書を見ていて、良い意味で分析するネタが無い会社だと感じました。これだけ大きい会社であれば積極的にM&Aをしていたり、新規事業を始めたりしていることが多いのですが、ナイキの場合はここ最近でのM&A等の大きな動きは無いようでした。製品開発と広告戦略に力を入れることでブランド力を高め、ブランド力により利益を生み出すという好循環が生まれている会社だと思います。

総合評価

以上を踏まえ筆者のNike,Incの財務数値の評価は以下のと通りです。

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