Pay Pal Holdings, Inc.ってどんな会社?
会社概要
Pay Palの会社概要は以下のとおりです。
- 本社所在地:カリフォルニア州
- 設立:1998年
- 事業内容:決済サービスの提供事業
- 売上高:253億ドル
PayPalの創業メンバーは、PayPalで成功した後も、事業や投資でたくさんの成功を収めています。その中でももっとも有名なのは電気自動車のテスラで成功したイーロン・マスク氏です。
株価の推移
PayPalの2021年12月から過去5年間の株価の推移は以下のとおりとなっております。
株価は2020年から大きく上昇しましたが直近では急落しています。
損益計算書分析
2021年12月期の連結損益計算書の概要は以下の通りとなっております。(1ドルあたり115円で換算しております。)
売上高は約2.9兆円となっております。営業利益率は16%となっており、収益性も高いことがわかります。売上高の内訳は以下のとおりです。
売上高の内訳
PayPalの2021年12月期の売上高の内訳は以下のとおりとなっております。
売上高の大半を占めるのは取引手数料収益となっています。
PayPalは決済サービスの会社です。PayPalに自分の銀行口座やクレジットカード、デビットカードを登録しておくことでペイパルが使えるお店で簡単に支払いを済ませることができます。
PayPalはお店側から決済手数料を受け取る仕組みです。利用者側は基本的に手数料はかかりませんが、海外通販等で外貨建ての支払いの場合には為替の手数料がかかります。
PayPalの決済はどのぐらいの人が利用しているのでしょうか。2021年12月期のデータは以下のとおりとなっております。
取引金額が143兆円となっております。途方も無い金額でどれぐらいすごいか分かりません。クレジットカードブランドのVISAの年間決済金額が約1,000兆円だったので、クレジットカードに比べると、まだまだ決済サービスの利用は浸透していないと言えると思います。
ちなみに地域別の売上高の内訳は以下のとおりです。
アメリカ向けの売上高は約半分です。日本でもPayPalを利用できる店舗は多いので世界の様々な地域で使われていることが予想できます。
費用の内訳
PayPalの2021年12月期の費用の内訳は以下のとおりとなっております。
最も大きな割合を占めているのは取引費用となっております。
PayPalを利用して決済する場合に利用者が登録している銀行口座やクレジットカードから支払いが行われます。PayPalは銀行やクレジットカード会社に対して手数料を支払っています。
また、決済処理業者(決算書ではpayment processorと記載)に対しても手数料を支払っているということでしたが、この決済処理業者が一体どういった事業者なのかはわかりませんでした。
売上原価に相当する取引手数料は売上に連動して増減する変動費の性質が強い費用となっております。
研究開発費として3,493億円が計上されています。ビットコイン等の暗号資産の決済を導入するなど顧客の利便性向上のために先進技術の開発に力を入れていることがわかります。
過去の業績の推移
PayPalの2021年12月から過去5年間の業績の推移は以下のとおりです。
業績は綺麗な右肩上がりで推移していることがわかります。この成長がどこまで続くか注目です。
ペイパルの2021年12月期の損益計算書のポイントは以下のとおりです。
- 決済の仲介を行い手数料を収益として計上している。
- 顧客に様々な決済方法を提案できる強みがある。
- 売上、利益ともに順調に拡大している。
貸借対照表の分析
2021年12月期のの連結貸借対照表の概要は以下のとおりとなっております。
資産総額は約8.7兆円となっております。資産の半分近くを占めるのは顧客預金資産です。利用者から預かっているお金が計上されています。当然利用者が要求すれば払い戻しをしなければいけませんので、同じぐらいの金額が負債として計上されています。
ついで大きな金額を占めているのはのれんです。PayPalは買収に積極的な会社です。2020年には消費者行動分析に強みを持つHoney Science Corporationを、2021年には日本で後払い決済サービスを提供しているPaidyを買収しました。
まとめ
今回は決済サービス事業を展開するPayPalを取り上げました。ペイパルはクレジットカードを作れない人でもオンライン決済が利用できるようになったり、決済相手にクレジットカード情報を開示しなくても良いといったメリットがあります。固定費の割合が大きく利用者が増えれば増えるほど儲かるビジネスモデルです。まだまだクレジットカード決済に比べればシェアは低いもののスマートフォンの普及に伴って急速に浸透してきています。
PayPalの収益の中でおそらく最も利益率が高いのは外貨決済をした際の為替手数料です。今後オンライン通販等で海外のものを買う機会は増えると思います。さらにビットコイン等の暗号資産の決済が普及すれば、更に決済手数料を稼ぐことが期待できます。
総合評価
以上を踏まえ筆者のPay Pal Holdings, Incの財務数値の評価は以下の通りです。