GAFAMとは
GAFAMはアメリカに本社を置く5つの超巨大企業のGoogle、Apple、Facebook、Amazon、Microsoftを総称する際に使われる言葉です。5社の頭文字をとってGAFAMと呼ばれております。
数年前まではマイクロソフトを除く4社でGAFAと呼ばれることが多かったのですが、コロナ禍で業績が急伸したマイクロソフトを加えてGAFAMと呼ばれることが多くなりました。
GAFAM5社が注目さているのは株価が絶好調であり、日常生活だけではなく株式市場にも大きな影響を与えているという背景があります。過去5年間の5社の株価の推移は以下のとおりです。
5社ともに過去5年間で株価は2倍以上に上昇をしております。
これらの5社はまとめて語られることが多いですが、それぞれ得意とする事業領域は異なります。今回はGAFAMの決算の概要を説明していきます。この記事を読むことでGAFAMの展開している事業を具体的な数値で理解できるようになります。
では早速5社の決算をGoogle、Apple、Facebook、Amazon、Microsoftの順番で見ていきましょう。
Googleの決算の概要
まずはGoogleを見ていきましょう。実はGoogleはAlphabet Inc.という会社の子会社です。そのためGoogleの決算はAlphabet Inc.の決算書を見れば確認することができます。
Googleの売上高と利益
Googleの2021年12月期の売上高と利益は以下のとおりとなっております。(1ドル当たり115円で換算)
売上高の約7割がGoogle広告売上となっております。Youtube広告の売上は全体の1割強しか占めていないことが分かります。クラウド事業にも力を入れておりAmazonと競合していますが現状ではAmazonの方が売上が大きいようです。
Googleの業績の推移
Googleの過去6年間の業績は以下のとおりとなっております。
売上高、利益ともに右肩上がりで推移しており売上は約2.8倍、利益は約3.9倍になっております。広告事業が中心であるため変動費が大きく、売上と利益の成長率に大きな乖離はありません。
Googleの貸借対照表
Googleの2021年12月期の連結貸借対照表の概要は以下のとおりです。
資産のうち最も大きな金額を占めているのは有価証券です。主に余剰資金の運用を行なっております。ついで大きいのは有形固定資産です。Googleクラウドに使用するデータセンターやサーバー関連機器が計上されていることが想定されます。
自己資本比率は約70%となっており財務体質は非常に健全であることが分かります。
ROAとROE
Googleの2021年12月期のROAとROEは以下のとおりです。
ROA、ROEはともに20%を超えており非常に高いですが、GAFAの中ではROAは3位、ROEは3位となっております。
Appleの決算の概要
次はアップルを見ていきましょう。アップルは時価総額が最も高くGAFAの中でも頭一つ抜けている印象がありますが実態はどうなっているのでしょうか。
Appleの売上高と利益
Appleの2021年9月期の売上高と利益は以下のとおりとなっております。(1ドルあたり110円で換算)
売上高は38.4兆円、利益は9.9兆円となっております。メーカーで利益率が20%を超えているのは驚異的です。売上の約半分がIphoneとなっております。サービス売上も約2割を占めており、利益率を押し上げる要因となっております。
Appleの業績の推移
Appleの過去6年間の業績の推移は以下のとおりとなっております。
2020年までは横ばい傾向が続いていました。巣篭もり需要もあり2021年に大きく業績を伸ばしました。成長率はGAFAMの他の会社と比較すると低い傾向にあります。
Appleの貸借対照表
Appleの2021年9月期の連結貸借対照表の概要は以下の通りです。
総資産のうち最も大きな金額を占めているのは有価証券で、主に余剰資金を運用しております。アップルはメーカーですが、製造を外部に委託しているため工場等の製造設備は保有しておらず有形固定資産は4.3兆円と割合としてはそれほど大きくありません。自己資本比率は約18%となっております。
ROAとROE
Appleの2021年9月期のROAとROEは以下の通りです。
自己資本比率が低いこともありROEは147.4パーセントと非常に高くなっております。GAFAMの中で最も高くなっております。
Meta Platformsの決算の概要
次はMeta Platformsを見ていきましょう。FacebookとインスタグラムといったSNSで世界を席巻した企業の決算書はどのようになっているのでしょうか。
Meta Platformsの売上高と利益
メタ・プラットフォームズの2021年12月期の売上高と利益は以下のとおりとなっております。(1ドルあたり115円で換算)
売上高のほぼ全てが広告収入となっておりFacebookやインスタグラムから莫大な収益が生まれていることが分かります。今最も力を入れているメタ・バース関連事業の売上高はまだまだ小さく、巨額の損失を計上している状況にあります。
Meta Platformsの業績の推移
メタ・プラットフォームズの過去6年間の業績の推移は以下のとおりです。
売上高、利益は右肩上がりで推移をしております。SNSのユーザーが増えたことと広告単価が大きく上昇したことが業績に寄与しています。
Meta Platformsの貸借対照表
Meta Platformsの2021年12月期の連結貸借対照表の概要は以下のとおりとなっております。
Facebookの総資産は約19兆円となっております。意外にも有形固定資産が6.6兆円も計上されております。サーバーやデータセンター関連の資産が計上されています。のれんは主にメッセージアプリを展開するWhat’s Appを買収した際に発生したものとなっております。
自己資本比率はGAFAMの中では最も高く約75%となっており財務体質は健全な水準にあります。
ROAとROE
FacebookのROAとROEは以下のとおりとなっております。
ROAはGAFAMの中でアップルに次いで2番目に高くなっております。
Amazonの決算の概要
次にオンラインショッピングだけではなく様々なサービスを提供しているAmazonを見ていきましょう。
Amazonの売上と利益
Amazonの2021年12月期の売上高と利益は以下のとおりとなっております。(1ドルあたり115円で換算)
売上の約半分を占めているのがオンラインストアの売上となっております。サードパーティー売上は、Amazonストアで出品者から購入する場合にAmazonが配送等を代行することによって発生する売上となっております。約7割がAmazonストア関連の売上となっております。
AWSはAmazon Web Serviceの略でクラウドコンピューティング等の事業となっております。今最も伸びている分野で実は利益の大部分はAWS事業が稼いでおります。
Amazonの業績の推移
Amazonの過去6年間の業績の推移は以下のとおりとなっております。
売上高と利益はともに大きく成長していることが分かります。固定費が大きい事業を行なっているため売上高の成長以上に利益が大きく伸びていることが分かります。
Amazonの貸借対照表
Amazonの2021年12月期の連結貸借対照表の概要は以下のとおりです。
資産総額は約48.3兆円となっており、GAFAMの中で最も多くの資産を保有しております。資産の中で最も大きな金額を占めているのは有形固定資産となっております。Amazon物流センターはほとんどが賃貸ですが、倉庫内のマテハン設備等が計上されていることが想定されます。またAWS事業のサーバー設備、データセンターの設備等も計上されております。
自己資本比率は約30%となっております。
ROAとROE
AmazonのROAとROEは以下のとおりとなっております。
ROAとROEはGAFAMの中で最も小さくなっております。事業の特性上、多額の資産を保有しているためこれらの指標では最も低くなってしまいます。
Microsoftの決算の概要
最後にパソコンのOSで圧倒的なシェアを誇るマイクロソフトを見ていきましょう。
Microsoftの売上と利益
Microsoftの2021年9月期の売上高と利益は以下のとおりとなっております。(1ドルあたり110円で換算)
売上で最も大きな割合を占めているのはクラウドサービスとなっております。Azureというクラウドサービスが今のマイクロソフトの業績を牽引しています。また、WordやExcelといったビジネスでは欠かせないソフトをサブスクリプション形式で提供しており、安定した収益を生み出しています。
Microsoftの業績の推移
マイクロソフトの過去6年間の業績の推移は以下のとおりとなっております。
売上、利益ともに順調に成長をしています。特にここ最近の利益の伸びが著しいです。
Microsoftの貸借対照表
Microsoftの2021年9月期の連結貸借対照表の概要は以下のとおりです。
資産総額は約37兆円となっており、アップルと同じぐらいの規模となっております。最も大きな金額を占めているのは有価証券で、国債や社債等で余剰資金の運用を行なっております。有形固定資産は主にクラウド事業関連のものが計上されていることが想定されます。
自己資本比率は約42%となっております。
ROAとROE
マイクロソフトのROAとROEは以下のとおりとなっております。
ROAはGAFAMの中で4位、ROEは2位となっております。
まとめ
今回はGAFAMの5社の決算の概要を解説していきました。GAFAMとひとまとめにされることが多いですが、事業内容は各社で大きく異なっております。共通しているのは直近の決算で約3兆円〜約10兆円の巨額の利益を計上しているという点です。この巨額の利益をどのように使っていくかで10年後に各社の勢力が決まっていくでしょう。