海外企業の分析

Apple Inc. 決算分析

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Apple Incってどんな会社?

Apple Inc.はアメリカ合衆国カリフォルニア州に本社を置く、スマートフォン、パソコン、タブレット、ウェアラブル端末等の製造販売事業を行なっている会社です。その歴史は比較的新しく1976年にスティーブ・ジョブズ氏等によりマイクロコンピューターのApple1を販売するために創業されました。1980年には株式上昇を果たし、1984年にMacintoshを発売しました。1990年代はWindowsに押され業績が低迷するものの2001年にipodを発売し世界中で人気を集めました。2007年にはIphoneを発売し世界中の人がスマートフォンを持つようになり世界を一変させました。2020年1月現在では時価総額が世界で最も高い会社となっております。

各種指標及び株価の推移

株価の推移

Apple Inc.の2020年9月期から過去5年間の株価の推移は以下のとおりです。

株価は右肩上がりで推移しております。特に2020年に入ってからは著しく上昇しています。

損益計算書分析

Apple Inc.の2020年9月期の連結損益計算書の概要は以下の通りとなっております。アップルはアメリカの会社ですのでドル建てで財務諸表を作成しております。今回の分析では一律に1ドルあたり105円で換算して分析を進めていきます。

売上高は約28.8兆円となっております。日本で最も大きい会社のトヨタ自動車の2020年3月期の売上高は約29.9兆円ですから、トヨタと同じぐらいの規模感です。

アップルの売上高の内訳は以下のとおりとなっております。

アップルの売上はiPhoneが約半分を占めております。iPhoneはいくつかのモデルがあるとはいえ単一の製品で14.4兆円も売り上げているというのは驚異的です。ウェアラブル端末やスマートスピーカーはそれほど人気がないイメージでしたがMacやiPadよりも売上が大きくなっており少し意外でした。

サービス売上について

アップルの売上の内約2割がサービス売上となっております。アップルは以下のようなサービスを展開しておりサービスの主な内容は以下の通りです。

サービス売上の内訳は開示されていませんでしたが、Digital Contentの売上が大きいのではないかと考えられます。ご存知の方も多いと思いますが、AppStoreで課金をした場合アップルが課金額は30%を手数料として受け取っております。iPhoneを使って課金ゲームをした場合に3割がアップルの収入になると考えると膨大な手数料収入があることが想定されます。

サービス売上は利益率が高いのが特徴です。以下は製品売上とサービス売上の利益率の比較です。

上記の通りサービス売上は粗利率が66%と非常に高くなっております。そしてサービス売上は増加傾向にあります。

AppストアやApple pay関連の売上はiPhoneの利用者が増えれば増えるほど累積的に増加する性質のものですから、今後もしばらくは増加傾向が続くことが想定されます。

Apple cardについて

サービス売上の中で今最も力を入れているのはPayment Servicesでしょう。Apple cardは日本では未導入のサービスですが利用額の1%〜3%がキャッシュバックされる非常に魅力的なクレジットカードとなっております。Apple Cardから直接利益を稼ぐことはあまり期待できないのではないかと考えています。

Apple Cardはマスターカードの決済ネットワークを使っており、カードの発行業務はゴールドマンサックスが担っています。AppleはAppleCardを使える端末(iPhone)を提供しているだけという見方もできます。つまり既存のクレジットカードのスキームを使った決済システムの中で利用者に1%〜3%という高い還元をしているためAppleは利益を得ることは難しいのではないかと思います。

アップルはApple Cardを通して顧客の囲い込みをする狙いがあるのだと思います。Apple Cardの利用者は他社のスマホではアップルカードを使うことができないため機種変更する時にはiphone以外に選択できなくなります。また決済に関するビッグデータを収集する狙いもあるかもしれません。

貸借対照表分析

アップルの2020年9月期の連結貸借対照表の概要は以下のとおりとなっております。

総資産は約34兆円となっております。資産の中で最も大きな金額を占めているのは有価証券となっております。流動、固定合わせて約16兆円計上されております。社債、国債等の債権が大部分を占めており余剰資金を運用しているようです。有形固定資産も約3.8兆円計上されております。アップルの新商品発表のプレゼンでよく出てくる本社のアップルパークや、世界中にあるアップルショップ、データセンター等が計上されているのでしょう。

棚卸資産について

棚卸資産の計上額は約4,200億円であり、回転期間は約0.3ヶ月と非常に短くなっております。アップルは製造を外部業者に委託しており自社で製造拠点を持っていないためだと思われます。そのため棚卸資産として計上されているのはアップルストアやオンラインショップで在庫としておいてあるもの等に限定されているのではないかと推定できます。

外部業者に委託しているため在庫リスクは負っていないようにも思えますが、実はアップルは外部業者が製造した製品を購入する義務をおっております。購入義務がその他流動負債に約5兆円計上されております。

負債の部、純資産について

長期債務は主に借入金が計上されており、その他固定負債には主に在外子会社に関する未払法人税が計上されております。

意外にも借り入れが多く、純資産は約6.8兆円となっており自己資本比率は20%となっております。純資産が6.8兆円なのに対して時価総額が200兆円を超えており、アップルが市場からいかに評価されているかがよく分かります。

地域別の業績

アップルの地域別の業績は以下の通りとなっております。

アップルの地域区分はかなり独特のものとなっております。なぜか本社があるアメリカが単独で区分されていないにもかかわらず日本は区分されております。売上はやはりアメリカ向けが多いことが想定されますが、アップル製品が世界中で愛されていることが分かります。特筆すべきは日本向けの利益率でしょう。他地域に比べて突出して高くなっています。日本人はぼっ◯くられているようです。

日本向けはiPhoneの売上が多く、Appストアでの売上が大きいため利益率が高いのかもしれません。

まとめ

今回は世界で最も時価総額が高いApple.Incを取り上げました。iPhoneの発売から約13年が経ちました。iPhone発売前の2006年9月期のアップルの売上高は約2.2兆円、利益は約2,300億円でしたから、売上は13倍に、利益は23倍になり、決算数値からもiPhoneという製品がいかにすごいかがよく分かります。GAFAの中でアップルが他の3社と大きく異なる点は自社で製品を開発してモノを売っているという点です。携帯電話やパソコンといったデジタル家電はこれまでの歴史を振り返れば盛者必衰という言葉が当てはまります。iPhoneがガラケーに取って代わったように他の製品がiPhoneに取って代わる日が来る可能性は大いにあるということです。

一方でアップルの特徴はOSを自社で開発をしておりAPPストアというプラットフォームを持っているという点が従来型のメーカーとは異なっております。さらにApple CardやゲームサービスといったApple製品ではないと使えないサービスを提供することで顧客の囲い込みを図っています。つまり他社は単に魅力的な製品を作るだけでは対抗できない状況になりつつあるということです。従来型のメーカーでアップルのようなプラットフォームを作るのは事実上不可能でしょうからアップルの優位はしばらく続くのではないかと考えられます。

総合評価

以上を踏まえ筆者のApple Inc.の財務数値の評価は以下の通りです。

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