日本企業の分析

カゴメ株式会社 決算分析

カゴメ株式会社ってどんな会社?

カゴメ株式会社は愛知県名古屋市に本社を置く食品の製造、仕入及び販売を行なっている会社です。2018年12月期の連結売上高は2,098億円、連結従業員数は2504人となっております。カゴメ株式会社の歴史は古く1898年に創業者の蟹江一太郎が西洋野菜の栽培に着手したのが始まりで、その後1903年に現在でも販売されているトマトピューレの製造に着手しました。その後西洋料理の普及とともに規模を拡大しまし、1976年には大阪証券取引所第二部への上場を果たしました。

各種指標及び株価の推移

株価の推移

カゴメ株式会社の2018年12月から過去5年間の株価の推移は以下の通りです。

2017年ごろまでは上昇傾向にありましたが最近では株価は下落傾向にあるようです。

各種指標(2018年12月時点)

自己資本比率 61.0%

株価収益率(PER) 21.05倍

株価純資産倍率(PBR)  2.76倍 

株価収益率と株価純資産倍率は比較的高い水準にあり市場から期待されている銘柄であることがわかります。

業績予想と達成状況

カゴメ株式会社の2018年12月期から過去5年間の業績予想とその達成状況は以下の通りとなっております。

過去5年間のうち3年は売上、利益ともに予想に対して未達となっております。比較的強気の予想を出す会社であると言えるのではないでしょうか。

損益分析

カゴメ株式会社の2018年12月期の損益計算書の概要は以下の通りとなっております。

粗利率は45%と製造業としては比較的高い水準となっております。一方で販管費が826億円も計上されており営業利益率はそれほど高くありません。

販管費について

カゴメの販管費の内訳は以下の通りとなっております。

もっとも大きいのが販売促進費となっており、金額は283億円にもなります。おそらくこれは得意先に対するリベートではないかと推定できます。得意先のスーパーマーケット等の仕入量や販売量に応じてリベートを支払っております。スーパーはリベートを獲得するためにメーカーの商品を店頭の目立つ位置に置いたり、チラシに載せたりするため、食品メーカーは競ってメーカーに対してリベートを支払っています。このリベートを加味すると粗利率は少し低くなります。

セグメント別分析

カゴメは加工食品事業、農事業、国際事業の3つを報告セグメントとして識別しており各事業内容とセグメント別の損益は以下の通りです。

加工食品事業が売上の約75%を占めており、また利益に至っては90%以上を占めております。加工食品分野ではトップシェアの商品が多く、利益率が高いことが予想できます。一方で生鮮食品を扱う農事業は赤字ですし、国際事業もほとんど利益に貢献できていないようです。

過年度の3セグメントの売上と利益の推移は以下の通りとなっております。

加工食品事業は利益が増加傾向にあります。健康志向の高まりもありスムージーが絶好調のようです。一方で農事業は低迷しております。農事業は天候や野菜の市場価格に大きく左右されるため業績は安定しないようです。国際事業もぱっとしません。

まとめ

今回はトマトを中心に様々な食品を製造、販売するカゴメ株式会社を取り上げました。野菜生活やトマトケチャップ等のトップシェアの商品を多く抱えており業績が非常に安定している会社です。ガリバー商品を持っているからといってあぐらをかかずにスムージーや高付加価値トマトなど新しい商品を次々と出している点も素晴らしいと思います。一方で国際事業はあまり利益に貢献できていないようです。栄養価の高いトマトを扱うトップメーカーですから健康志向の高まりを追い風にして、さらに新商品の開発に力を入れるてもらうことを期待したいです。