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タカラバイオ株式会社 決算分析

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タカラバイオ株式会社ってどんな会社?

タカラバイオ株式会社は滋賀県草津市に本社を置くバイオ産業事業等を行なっている会社です。2020年3月期の連結売上高は345億円、連結従業員数は1,385人となっております。タカラバイオ株式会社は2002年に寳酒造株式会社からバイオ事業を承継して設立された会社です。寳酒造では1967年にバイオ関連事業を開始しております。1973年にはブナシメジの人工栽培に成功、1979年には国産初の制限酵素を発売するなどバイオ事業を拡大してきました。2004年に東証マザーズに上場を果たし、2016年に東証一部へ市場変更しております。(株)宝ホールディングスが約60%の株式を保有しており、タカラグループの主要子会社の一つとなっております。売上高のうち約45%が国内向けの売上高となっております。海外はアメリカと中国向けの売上が大きくなっております。

各種指標及び株価の推移

株価の推移

タカラバイオ株式会社の2020年3月から過去5年間の株価の推移は以下の通りです。

株価は横ばい傾向が続いておりましたが2018年頃に大きく上昇し、その後は低迷傾向にあるようです。

各種指標(2020年3月時点)

株価収益率(PER) 70.33倍

株価純資産倍率(PBR)  4.03倍

株価収益率と株価純資産倍率は共に高い水準にあり市場からは大きな期待をされている銘柄であることが分かります。

損益計算書分析

タカラバイオ株式会社の2020年3月期の連結損益計算書の概要は以下の通りです。

粗利率について

粗利率は61.1%と非常に高くなっております。2020年3月期から過去7期の粗利率の推移は以下の通りです。

2020年3月期は粗利率が上昇していますが一部事業を売却した影響だと思われます。

売上が大きく伸びておりますが粗利率はそれほど伸びていません。売上原価は変動費が比較的多いのではないかと推定できます。ちなみに研究開発に関する費用は基本的に販管費に計上されており売上原価には計上されず粗利率には影響はないです。

販管費について

タカラバイオの販管費の内訳は以下の通りです。

その他が多く詳細な分析はできませんが、人件費と研究開発費が大きな割合を占めております。研究開発費も多くが人件費関連の費用となっております。販管費は固定費が占める割合が多いことが推定できます。

セグメント別分析

タカラバイオ株式会社の2020年3月期と2014年3月期のセグメント別の売上高と利益は以下の通りです。

タカラバイオ株式会社は、バイオ産業支援事業、遺伝子医療、医食品事業の3つの事業を行なっております。(医食品バイオ事業は2019年3月期に雪国まいたけとシオノギヘルスケアに売却しております。)

バイオ産業支援事業について

まず売上高の大部分を占めるのはバイオ産業支援事業です。バイオ産業支援事業さらに3つの区分に分かれており売上高は以下の通りです。

研究用試薬事業は遺伝子研究用試薬、IPS細胞研究用試薬の販売を行なっている事業です。この事業だけでタカラバイオ(株)の売上の大部分を占めております。この6年間で売上も大きく成長しているようです。

受託サービス事業は遺伝子解析や再生医療製品の開発支援を行なっている事業です。過去6年間で売上を大きく伸ばしております。

遺伝子医療事業について

遺伝子医療事業は遺伝子療法に対するライセンスの供与、治験薬の販売を行なっている事業です。6年前は売上は0円であったため、研究開発等に関する費用がそのまま赤字となっておりました(2018年3月期まで赤字でした)。2020年3月期は遺伝子治療の治療薬関連の収益や治験製品の販売により売上が計上されております。

各事業の従業員数と研究開発費は以下の通りとなっております。

遺伝子医療事業の従業員数はわずか41人しかいません。また研究開発費は744百万円であり遺伝子医療事業に係る費用の大部分を占めていることがわかります。費用の大部分は固定費であることが推定できます。そのため売上の増加がそのまま利益の増加につながる費用構造であるということです。

大塚製薬とがんの治療薬や遺伝子療法に関する研究を進めているようです。有効な薬の開発に成功すれば、開発一時金やロイヤリティ収入が見込まれるため、大きな利益を生み出す可能性があります。株価に関する指標が割高であったのは遺伝子医療事業への期待によるものであったようです。

貸借対照表分析

タカラバイオ株式会社の2020年3月期の連結貸借対照表の概要は以下の通りです。

資産総額は約750億円となっております。負債がほとんどなく財務体質は非常に健全です。連結貸借対照表には特筆すべき点は見当たりません。

まとめ

今回はタカラバイオ株式会社を取り上げました。成長分野である遺伝子医療、再生医療の分野に強みを持っており粗利率が高く売上高も大きく成長傾向にあるようです。2020年3月期には収益性が悪い医食品バイオ事業を売却し経営資源を成長分野へ集中させております。ライセンス料収入は収入金額がそのまま利益となります。そのため遺伝子医療事業で現在進行中のいくつかのプロジェクトが成功し治療薬の市販化にまでたどりつくことができれば大きな利益がもたらされることでしょう。

総合評価

以上を踏まえ筆者のタカラバイオ株式会社の財務数値の評価は以下の通りです。

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