株式会社トプコンってどんな会社?
株式会社トプコンは東京都板橋区に本社を置く光学機器メーカーです。2020年3月期の連結売上高は1,389億円、連結従業員数は4,939人となっております。トプコンは1932年に服部時計店精工舎(現在のセイコーホールディングス株式会社)の測量部門を母体として創業しました。創業後は現在の主力事業である測量の他にも双眼鏡やカメラ事業が主体でした。1947年には医療機器事業を、1990年にはGPS事業に参入し各分野で高い技術力を背景に売上を伸ばしてきました。
各種指標及び株価の推移
株価の推移
株式会社トプコンの2020年3月から過去5年間の株価の推移は以下の通りです。
株価は上がり下がりが激しくなっております。直近の株価は低迷しております。
各種指標(2020年3月時点)
株価収益率(PER) 90.41倍
株価純資産倍率(PBR) 1.33倍
2020年3月期は業績があまり良くなかったため株価収益率は高くなっておりますが、株価純資産倍率は標準的で市場からは一定の評価を得ている銘柄であることが分かります。
損益計算書分析
株式会社トプコンの2020年3月期の連結損益計算書の概要は以下の通りとなっております。
高い粗利率
まず特筆すべきは粗利率の高さです。粗利率は53%と製造業としてはかなり高い水準にあります。販管費は672億円です。そのうち263億円が従業員給与、116億円が研究開発費となっております。付加価値の高い製品を開発し、利益を生み出し、研究開発投資を進めてさらに付加価値の高い製品を生み出すという好循環ができていることがわかります。
営業外費用について
営業外費用が29億円計上されており利益をかなり圧迫しているようです。中身を確認していきましょう。
支払利息について
支払利息が約9億円計上されております。株式会社トプコンの主な借入金の内訳は以下の通りです。
短期借入金の利率が大きくなっております。親会社単体での利息計上額は約2億円であることから海外子会社で計上しているものと思われます。親会社が資金を貸すという方法をとれば高い利息を回避することができますが、為替リスクを追うことになるため、高い利率もやむなしといったところでしょうか。
為替差損失について
この他に為替差損失が5億円計上されております。株式会社トプコンは国内向けの売上高が2割以下となっており、アメリカ、ヨーロッパ、中国、オセアニア等世界各国に幅広く販売しています。製造拠点は日本以外にもアメリカ、中国にあります。特にアメリカの子会社は2020年3月期の売上高が457億円とかなり大規模な拠点となっております。製造拠点が分散されており、為替リスクはそれほど大きくないと言えると思います。
セグメント別損益
2019年3月期の株式会社トプコンのセグメント別の損益は以下の通りとなっております。
売上が最も大きいのはポジショニング・カンパニーとなっております。GNNS測量と呼ばれる人工衛星から送られる電波を使って測量するための器具や、GNNS測量技術を活用した農作業の支援機器等の製造と販売を行なっています。
スマートインフラ事業はUAV測量と呼ばれるドローンを使った広範囲の3D測量を行う機器の製造と販売を行なっています。圧倒的な高い利益率を誇っている事業です。
アイケア事業は眼科の診断、検査、治療機器の製造と販売を行なっています。利益率は3つの事業の中で最も低くなっております。
以下は6年前(2014年3月期)のセグメント別の損益です。
ポジショニング・カンパニーは売上が大きく伸びていることがわかります。建設や農業分野での自動化・IT化が進んでおり今後も市場は拡大していくと考えられております。一方で利益率の高いスマートインフラ事業については5年前からあまり成長していないようです。ドローンを使った3D測量は国土交通省が進める建設現場の生産性の向上を目指すi-constructionにおいても推奨されており、効率性等が認知されて導入する企業が増えることを期待したいですね。アイケア事業は売上は伸びているものの利益は減少しています。スマホの普及で眼に悩みを抱える人が増えていますから、引き続き成長を期待したいです。
まとめ
今回は光学機器メーカーの株式会社トプコンを取り上げました。トプコンは測量機器で高い利益率を誇る会社であることがわかりました。事業面では測量と医療機器の2本柱があり、地域面でもアメリカ、ヨーロッパ、アジア等幅広い地域で事業展開ができております。
トプコンは測量による正確な位置情報を応用して農業の生産性を上げる機器の販売を行なっております。今後はIOTといってあらゆるものの中にコンピューターが入る時代が到来すると言われております。IOT時代にはあらゆるものに位置情報を使ったサービスを展開できるようになるはずです。そうなればトプコンの測量技術が生かされる時代がくるかもしれません。
総合評価
以上を踏まえ筆者の株式会社トプコンの財務数値の評価は以下の通りです。