任天堂株式会社ってどんな会社?
会社概要
任天堂の会社概要は以下のとおりです。
- 本社所在地:京都市南区
- 設立:1947年
- 事業内容:娯楽製品の製造及び販売
- 売上高:1兆7,589億円
- 従業員数:6,574人
株価の推移
任天堂の2021年3月から過去5年間の株価の推移は以下のとおりです。
株価は上昇傾向にあることが分かります。
損益計算書分析
任天堂の2021年3月期の連結損益計算書の概要は以下の通りとなっております。
売上高は約1.7兆円となっております。任天堂の現在の主力製品はNintendo SWITCH(以下スイッチ)と、スイッチのソフトウェアです。売上の内訳としては、本体が半分、ソフトウェアで残りのを売り上げているといった状況となっています。
売上高の地域別の内訳は以下のとおりとなっております。
日本向けの売り上げは約23%となっており海外向けの売上が大きいことが分かります。海外向けはアメリカと欧州が多く、先進国向けの売り上げが中心のようです。
販管費の内訳
任天堂の2021年3月期の販管費の内訳は以下のとおりとなっております。
販管費で最も大きな金額を占めているのは研究開発費となっております。新しいハードウェアの開発に向けた技術開発やゲームソフトの開発に大きな費用がかかっていることが分かります。
次いで大きな金額を占めているのが広告宣伝費となっております。確かにゲームのCMはよく見ます。おそらく世界各国のメディアで広告を出しているため大きな費用が計上されているのでしょう。
スイッチ本体とソフトウェアの売上数量の推移
任天堂の今の主力製品はスイッチとスイッチのソフトウェアです。
スイッチは2017年3月に発売されました。発売以来の販売数量の推移は以下のとおりとなっております。
新型コロナウィルスの影響を受けて、2021年3月期は大きく販売が伸びていることが分かります。
またソフトウェアの販売数量は伸び続けていることが分かります。スイッチの本体を持っている人が増えてきているため、ソフトウェアの販売量は増加を続けていることが分かります。
粗利率について
任天堂の2021年3月期の粗利率は約55%となっております。スイッチは高性能ですからもっと原価率が高いと思っていましたが、意外でした。過去3年間の粗利率の推移は以下のとおりとなっておりました。
過去3年間で粗利率は大きく上昇をしています。ハード売上の割合が減っていることによるものだと考えましたが、2020年と2021年を比較するとハード売上の割合はほとんど変わっていません。
一方でデジタル売上比率が大きく上昇しており、ソフトのダウンロード販売が急増していることが分かります。ダウンロード販売であれば、ソフト自体を作る必要が無く、お店のマージン分も任天堂の利益となります。
今後もダウンロード販売の増加傾向は続くのではないかと思われます。
業績の推移
任天堂は業績の変動が大きい会社です。過去16年間の売上と営業利益の推移は以下のとおりです。
2008年〜2010年はWiiとDSのヒットが絶好調でしたが、その後2012年に発売されたWii Uはあまり売れませんでした。2017年3月にスイッチを発売し業績は急回復しました。
任天堂の業績はゲーム機本体の売れ行きに大きく左右されていることが分かります。
- 売上の約半分が本体売上
- 先進国向けの売り上げが大きな割合を占める
- ソフトのダウンロード販売が増えており利益率を上げている
- 業績はゲーム機本体の売れ行きに大きく左右される。
貸借対照表の分析
任天堂の2021年3月期の連結貸借対照表の概要は以下のとおりとなっております。
資産の中で最も大きな金額を占めているのは現預金等です。1.2兆円近い金額が計上されております。有価証券や投資有価証券は債券が大きな割合を占めており、余剰資金が豊富にあることが分かります。
棚卸資産は約868億円で、回転期間は約1.3ヶ月となっております。スイッチの本体とゲームソフトが大きな金額を占めていることが想定されます。
自己資本比率は約76%となっており財務体質は非常に健全です。
まとめ
今回は娯楽製品の製造、販売事業を行う任天堂株式会社を取り上げました。スイッチの発売以来業績は好調な推移を続けています。粗利率が高く、売上の約半分を占めるゲームソフトは固定費が中心です。そのため利益が大きく変動する傾向があります。
任天堂の業績はゲーム機本体の売れ行きに大きく依存しています。コンピューターの世界では今後、クラウド化、集中化が進むと言われています。ゲーム機でも同様にクラウド化、集中化が進めば据え置き型のゲーム機は無くなってしまうかもしれません。そうなった時に任天堂がゲーム業界で今の地位を維持できるかは不透明です。とはいえ、マリオをはじめとした人気ゲームタイトルをたくさん持っているためソフトメーカーとしては間違えなく生き残れるのではないかと思います。
総合評価
以上を踏まえ筆者の任天堂の財務数値の評価は以下の通りです。