Pinterest, Incってどんな会社?
会社概要
Pinterest, Incの会社概要は以下のとおりです。
- 本社所在地:カリフォルニア州
- 設立:2010年
- 事業内容:画像に特化したSNSであるPinterestの運営事業
- 売上高:約17億ドル(2020年12月期)
- 従業員数:2,545人(2020年12月期)
設立から10年あまりと比較的新しい会社となっています。画像に特化したSNSという意味ではインスタグラムの競合として挙げられそうです。
株価の推移
ピンタレストの2019年4月の上場以来の株価の推移は以下のとおりとなっております。
株価は2020年の1年間で大きく上昇していることが分かります。
損益計算書分析
ピンタレストの2020年12月期の連結損益計算書の概要は以下の通りとなっております。
売上高は約1,743億円となっています。世界最大のSNSを運営するFacebookの2020年12月期の連結売上高は約8.8兆円ですから、Facebookと比較すると、まだまだ規模が小さい会社です。
粗利率は73%と非常に高い水準にあります。売上原価はピンタレストのサイト、アプリの運営に関する費用しかからないため、ゲームアプリの運営会社と同様に粗利率は高くなります。
一方で研究開発費と販管費が大きいため営業赤字の状況となっています。人件費の割合が大きいことが想定されます。従業員向けにストックオプションを発行しており、株価が上がれば人件費が多く計上されるという状況にあります。2020年12月期の株式報酬の計上額は約330億円となっており、赤字決算の大きな要因となっております。
売上高について
ピンタレストの地域別の売上高は以下の通りとなっております。
アメリカ向けの売上が8割以上を占めています。ピンタレストは広告により収益を得ています。
インターネットの広告収入はクリックや再生数に応じて支払われるものと、購入に応じて支払われる成果報酬があります。
ユーザーはピンタレストを使って自らが興味関心があるものを検索するため、ユーザーの興味関心に応じた広告を出すことができます。つまり成果に繋がりやすい広告を打つことができる点がピンタレストの強みだと思います。
ユーザー数について
ピンタレストのユーザー数の推移は以下のとおりとなっております。
アメリカ以外での伸びが著しいことが分かります。ピンタレストの売上のうちアメリカ以外の地域が占める割合は約17%となっておりました。
ユーザーはアメリカ以外の方が多いものの、売上が伴っていません。推測ですが以下の2つの理由が考えられます。
- アメリカ以外の地域ではユーザーを増やすことを優先しており広告をあまり貼っていない
- ピンタレストはまだ新しいサービスであるため広告主がつかない。
いずれにせよ、今後ピンタレストのサービスが定着すれば売上が大きく伸びる可能性があると期待できます。
ピンタレストの2020年12月期の損益計算書のポイントは以下のとおりです。
- 粗利率が73%と高め
- 営業利益が赤字なのは株式報酬費用の負担が大きいため
- 今後はアメリカ以外の売上が伸びることが期待できる
貸借対照表の分析
ピンタレストの2020年12月期の連結貸借対照表の概要は以下のとおりとなっております。
総資産は約2,687億円となっております。現預金、有価証券、売掛金が資産の大部分を占めています。有価証券は主に余剰資金を社債や国債で運用しているようです。有形固定資産はほとんど計上されておりません。
自己資本比率は85%となっており財務体質は非常に健全な水準にあります。
まとめ
今回は画像に特化したSNSを展開するピンタレストを取り上げました。利用者を大きく伸ばしているSNSです。ユーザーがピンタレストを使って興味あるものを検索するため、効率的に広告を打つことができます。他のSNSに比べて高い収益を上げるポテンシャルを持っているのではないかと思います。
研究開発にも力を入れており、文字による検索ではなくカメラで撮影した画像を元に検索したり、AR(拡張現実)技術を使ったサービスを導入しているようです。
利用者を順調に伸ばすことができれば売上、利益が共に大きく伸びることが期待できるのではないかと思います。
総合評価
以上を踏まえ筆者のPinterest, Incの財務数値の評価は以下の通りです。