海外企業の分析

International Business Machines Corporation(IBM) 決算分析

IBMってどんな会社?

会社概要

IBMの会社概要は以下のとおりです。

会社の概要
  • 本社所在地:ニューヨーク州
  • 設立:1911年
  • 事業内容:クラウド、ミドルウェア、ソフトウェア、AI関連のサービスの提供
  • 売上高:736億ドル(2020年12月期)
  • 従業員数:375,300人(2020年12月期)

株価の推移

IBMの2020年12月から過去5年間の株価の推移は以下のとおりとなっております。

株価は下落傾向にあることが分かります。

損益計算書分析

IBMの2020年12月期の連結損益計算書の概要は以下の通りとなっております。1ドルあたり103円で換算しております。

粗利率は約48%、経常利益率は6.2%となっております。研究開発費は約6,522億円ですから研究開発に力を入れていることが分かります。

売上の内訳

IBMの2020年12月期の売上高の内訳は以下のとおりです。

IBMはかつてはパソコンの販売をしている会社でしたが、現在では、ソフトウェアの売上が3割、サービス売上が6割弱を占めていることが分かります。

IBMはハイブリッドクラウド事業に力を入れています。近年多くの企業で導入しているクラウドサービスはパブリッククラウドとプライベートクラウドの2つに分けることができます。

パブリッククラウドは利用者が共通のサーバー等を利用する仕組みでアマゾンやマイクロソフトが先行しています。プライベートクラウドは自社専用のクラウドを構築して利用する仕組みとなっており、コストはかかりますが、セキュリティが確保できるといったメリットがあります。

ハイブリッドクラウドはプライベートクラウドとパブリッククラウドの両方を利用することによって最適なIT環境を構築することができる仕組みとなっております。

IBMではクラウドインフラの提供だけではなく、ハイブリッドクラウドのためのデータプラットフォームやミドルウェアの提供といった事業を行なっており、企業のニーズに沿ったIT環境の構築を一貫して実施できるという強みがあります。

地域別の売上高の内訳

IBMの2020年12月期の地域別の売上高の内訳は以下のとおりとなっております。

アメリカ向けで約半分の売上があります。比較的バランスが良い売上構成になっているように思えます。

業績の推移

IBMの過去6年間の売上と純利益の推移は以下のとおりとなっております。

売上、利益ともに減少傾向にあるように見受けられます。

2020年12月期の損益計算書のポイントは以下のとおりです。

貸借対照表の分析

2020年12月期のIBMの連結貸借対照表の概要は以下のとおりとなっております。

資産総額は16兆円となっております。資産の中で最も大きな金額を占めているのはのれんです。

IBMは多くの企業を買収しております。最近では2019年7月にRed Hatというクラウド事業やオープンソースソフトウェアの企業を約3.6兆円で買収しました。買収に伴いのれんが2.3兆円発生しています。

有形固定資産も約1兆円計上されております。大部分がクラウドサービス関連の固定資産ではないかと考えられます。

自己資本比率は約13%となっており、それほど高くはありません。

まとめ

今回はクラウド、ミドルウェア、ソフトウェア等のコンピューター関連事業を行なっているIBMを取り上げました。かつて大型コンピューターで圧倒的な地位を誇ったメーカーでしたが、市場の変化に対応をして事業を大きく転換してきました。これだけ技術革新や変化が激しい市場で生き残ってきたすごい会社だと思います。

近年は売上が伸び悩んでいる状況です。クラウドとAIといった分野に積極的に投資をしており、次の時代も第一線で活躍することを期待できるのではないかと思います。

総合評価

以上を踏まえ筆者のIBMの財務数値の評価は以下の通りです。