日本企業の分析

株式会社帝国ホテル 決算分析

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株式会社帝国ホテルってどんな会社?

株式会社帝国ホテルは1887年に渋沢栄一等により設立された会社です。太平洋戦争後にGHQにより接収された時期もありましたが1961年に東京証券取引所市場第二部に上場を果たしました。2019年3月期の連結売上高は584億円、連結従業員数は1,940人となっております。三井不動産が筆頭株主となっており33%の株式を保有しております。

各種指標及び株価の推移

株価の推移

株式会社帝国ホテルの過去5年間の株価の推移は以下の通りです。

株価は安定しているようですが、近年は低下傾向にあるようです。

各種指標(2019年3月時点)

自己資本比率 73.2%

株価収益率(PER) 32.53倍 (東証一部平均 15.9倍)

株価純資産倍率(PBR)  2.02倍 (東証一部平均1.2倍)

自己資本比率は73.2%と財務体質は非常に健全です。株価収益率、株価純資産倍率はともに東証一部の平均を大きく上回っており市場からは大きく期待されている銘柄であることが分かります。

損益分析

株式会社帝国ホテルの2019年3月期の連結損益計算書の概要は以下の通りとなっております。

売上高の内訳

株式会社帝国ホテルの売上高の内訳は以下の通りとなっております。

帝国ホテル株式会社はホテル事業のほかに不動産賃貸事業を行なっています。東京の帝国ホテルの建物の一部はオフィスビルとなっております。不動産賃貸事業の収益の大部分はそのオフィスから計上される賃貸収益でしょう。売上に占める割合は6.5%と小さいですが、利益率が高い事業となっております。

帝国ホテルは東京、大阪、上高地の3つのホテルがありますが、東京の帝国ホテル本社が売上の大部分を稼いでいるようです。

販管費・材料費について

売上原価に相当する材料費は127億円となっており、売上高に対する割合は約21%となっております。宿泊客向けの売上とレストラン利用客向けの売上がそれぞれどれぐらいあるのかは開示されていないため、レストランで出される食事に対する材料費の割合は分かりません。しかし宿泊費や賃貸収入を含む売上に対する材料費の割合が21%というのは個人的には高いと思います。帝国ホテルの料理は非常に良い材料を使っていることが推定できます。

販管費の内訳は以下の通りとなっております。

販管費の内最も大きな割合を占めているのは人件費となっております。ホテルではレストランの厨房やウエイトレス、フロント等多くの人員が必要です。他の大きな費目には賃借料や減価償却費があります。人件費やこれ等の費目は固定費的な性質が強い費用となっております。そのため比較的リスクが高い費用構造であると言えます。

貸借対照表分析

株式会社帝国ホテルの2019年3月期の連結貸借対照表の概要は以下の通りとなっております。

まず目立つのは現預金の多さです。現預金が負債総額よりも大きくなっており非常にキャッシュリッチの会社です。現預金の他にも有価証券や投資有価証券を多く所有しており財務状況は全く問題ないでしょう。

ホテル事業を行なっているため有形固定資産も多いと予想したのですが既に減価償却が進んでいるためか、それほど金額は大きくありません。また古くから保有している不動産が多いためか以下の通り含み益が計上されている資産も多いようです。

賃貸の用に供している資産は賃貸等不動産として、期末時点での簿価と時価を開示する必要があります。帝国ホテルの賃貸等不動産の注記によると保有不動産には700億円以上の含み益があるようです。

まとめ

今回は日本有数の高級ホテルを運営する株式会社帝国ホテルを取り上げました。ホテル事業という性質上、売上は客室数やレストランの座席数といった設備による上限があります。別の場所にホテルを新規開業をすれば売上を伸ばすことができるかもしれませんが、現状の帝国ホテルと同等のサービスを提供できなければブランドイメージの低下にもつながってしまうため新規開業は簡単ではないと思います。そうなると今後の成長は稼働率と客単価を上げることで実現していくことになると思います。以下は帝国ホテル東京と大阪の外国人宿泊客の割合の推移です。

 近年訪日外国人観光客が急増しており、それに伴って帝国ホテルの宿泊客も約半分が外国人となっております。今後はこの外国人観光客をいかに取り込むかが、稼働率と客単価を上げるための鍵となるのではないでしょうか。

総合評価

以上を踏まえ筆者の株式会社帝国ホテルの財務数値の評価は以下の通りです。

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