日本企業の分析

株式会社システナ 決算分析

株式会社システナってどんな会社?

株式会社システナは東京都港区に本社を置くシステム開発やIT機器の販売を行なっている会社です。2019年3月期の連結売上高は597億円、連結従業員数は3,027 人となっております。1983年にマイクロコンピューターのソフト開発を目的としてヘンミエンジニアリングとして事業をスタートさせました。2002年に大阪証券取引所のナスダックジャパンに上場を果たしました。(2005年に東証一部へ移行しております。)

各種指標及び株価の推移

株価の推移

株式会社システナの過去5年間の株価の推移は以下のとおりとなっております。

過去5年間で株価は急上昇していることがわかります。

各種指標(2019年3月時点)

自己資本比率 59.9%

株価収益率(PER) 25.57倍 (東証一部平均 15.9倍)

株価純資産倍率(PBR)  5.77倍 (東証一部平均1.2倍)

自己資本比率は59.9%と財務体質は健全な水準にあります。株価収益率と株価純資産倍率はともに東証一部の平均を大きく上回っており市場からは大きく期待されている銘柄であることがわかります。

損益分析

株式会社システナの2019年3月期の連結損益計算書の概要は以下のとおりです。

粗利率は約21%となっております。売上原価の内訳は開示されていませんがIT関連機器の仕入原価とシステム開発関連の人件費が主な原価になると推定できます。IT関連機器の仕入原価は変動費ですが、システム開発に係る人件費は外注していない場合には固定費となります。

販管費について

販管費の内訳は以下のとおりとなっております。

人件費や賃借料が占める割合が大きくなっており、固定費が大きい費用構造であることがわかります。

貸借対照表分析

株式会社システナの2019年3月期の連結貸借対照表の概要は以下のとおりとなっております。

資産の大部分が売掛金と買掛金が占めております。現預金等が負債総額よりも大きく財務体質は非常に健全なようです。また固定資産もほとんど保有しておらず典型的なシステム会社の貸借対照表です。

セグメント別分析

株式会社システナの報告セグメントと各セグメントの事業内容は以下のとおりです。

各セグメントの売上と利益は以下のとおりとなっております。

最も大きな利益を稼いでいるのはソリューションデザイン事業となっております。車載システム、公共システム、金融システム等幅広い分野のシステムの開発を行なっています。

ソリューション営業は売上は大きいものの利益が小さくなっています。システナ自身はIT機器の製造は行なっておらず、「システナリンク」というサイトを通じて販売を行なっているようです。「システナリンク」では60万を超えるアイテムを取り扱っているようですが、貸借対照表上には9億円程度しか計上されていないため、ほとんど在庫リスクは負っていないことが推定できます。

ITサービス事業は売上はそれほど大きくありませんが利益率が高い事業となっております。事業内容がシステム、ネットワークの保守運用ですから安定した利益が期待できる事業となっております。

まとめ

今回は大手システム会社の株式会社システナをとりあげました。主力のソリューションデザイン事業では幅広い分野のシステムの開発を行なっているようですが、決算関連資料を見る限りでは、システナの強み等は特に見つけることができませんでした。とはいえ過去の業績推移を見る限りでは業績が大きく伸びている会社であり、費用構造としては固定費が中心であることから特に利益の伸びが著しくなっております。またクラウドの導入支援事業や自動運転関連のシステムは今後成長が期待できる分野です。またIOTの進展によりIT機器の販売が伸びればソリューション営業事業が展開す「システムリンク」の売上が伸びることも期待できそうです。

総合評価

以上を踏まえ筆者の株式会社システナの財務数値の評価は以下の通りです。