日本企業の分析

伊藤忠商事株式会社 決算分析

伊藤忠商事ってどんな会社?

会社概要

伊藤忠商事の会社概要は以下のとおりです。

会社の概要
  • 本社所在地:東京都港区
  • 設立:1914年(過度経済力集中排除法により1949年に分割される前の旧伊藤忠商事)
  • 事業内容:総合商社
  • 売上高:10兆3,626億円(2021年3月期)
  • 従業員数:125,944人(2021年3月期)

株価の推移

伊藤忠商事の2021年3月から過去5年間の株価の推移は以下のとおりとなっております。

株価は概ね日経平均と連動した動きをしていることがわかります。

損益計算書分析

2021年3月期の連結損益計算書の概要は以下の通りとなっております。

もう少し詳しい損益計算書はこちら

売上高は約10.3兆円です。粗利率は商社ということもあり低く、17.2%となっております。

売上高の内訳

伊藤忠商事の売上高の内訳は以下のとおりとなっております。

各売上区分の主な事業内容は以下のとおりです。よく商社の事業内容はラーメンからミサイルまでと言われますが、非常に幅広い事業を展開していることがわかります。

食品事業の売上が約4割を占めています。コンビニ事業はファミリーマートです。実は伊藤忠の子会社だったんですね。

地域別の売上高

地域別の売上高の内訳は以下のとおりです。

国内向けの売上高が約8割を占めています。商社は海外に物を売っていくというよりも、海外から物を買ってくる役割を担っているようです。

セグメント別の利益の推移

伊藤忠商事はどの部門で利益を計上しているのでしょうか。過去6年間の利益の内訳の推移は以下のとおりとなっております。

ご覧の通り、年によって稼いでいる部門が違うことがわかります。事業内容が幅広いため、不調の事業があっても他の事業が補う形で順調に利益を計上していることがわかります。

伊藤忠商事の2021年3月期の損益計算書のポイントは以下のとおりです。

貸借対照表の分析

伊藤忠商事の2021年3月期のの連結貸借対照表の概要は以下のとおりとなっております。

貸借対照表を見ると今の商社の事業展開の方法がよくわかります。商社といえば卸売を行なっており自社では資産をあまり持っていないイメージを持っている方も多いと思います。

有形固定資産が約1.9兆円、持分法投資が1.8兆円、のれん・無形固定資産が1.1兆円計上されています。つまり今の商社は様々な事業に資本参加し、人材を送り、商社のネットワークを活かして事業を有利に展開することで利益を稼得していることがわかります。

負債の部に目を向けると社債や借入金が多いことがわかります。自己資本比率は約35%ありますから特に心配が必要な水準ではないでしょう。

まとめ

今回は5大商社の1つである伊藤忠商事を取り上げました。非常に勢いがある会社で、コロナ禍でもあまり影響は受けずに順調に利益を計上していることがわかりました。商社といえば卸売のイメージが強いですが、単に物を売るだけではなく積極的に投資を行い、事業に関与することでより付加価値を生み出すことができているため、利益が順調に拡大しているように思えます。国内向けの売上が中心ですが、柔軟に事業展開を進めてきており今後も成長の余地は十分にあるのではないかと思いました。

総合評価

以上を踏まえ筆者の伊藤忠商事株式会社の財務数値の評価は以下の通りです。