日本企業の分析

三菱地所株式会社 決算分析

三菱地所ってどんな会社?

会社概要

三菱地所の会社概要は以下のとおりです。

会社の概要
  • 本社所在地:東京都千代田区
  • 設立:1937年
  • 事業内容:不動産の開発、賃貸、管理事業等
  • 売上高:1兆2,075億円
  • 従業員数:9,982人

三菱合資会社から丸の内ビルを譲り受けて事業をスタートした歴史のある会社です。三菱地所の決算を見に行こー

株価の推移

三菱地所の2021年3月から過去5年間の株価の推移は以下のとおりです。

株価は安定的に推移していることがわかります。

損益計算書分析

三菱地所の2021年3月期の連結損益計算書の概要は以下の通りとなっております。

もう少し詳しい損益計算書はこちら

粗利率は26.3%とそれほど高くはありませんが、販管費率が低く営業利益率は18.6%と高くなっております。

売上高の内訳

三菱地所の売上高の内訳は以下のとおりとなっております。

売上高で最も大きな割合を占めているのはコマーシャル不動産事業です。

オフィスや商業施設、物流施設、ホテルの開発、賃貸、管理を行なっている事業です。自社で保有する物件だけではなく、転貸や運営管理も行なっております。

住宅事業は、マンションの分譲や管理運営事業を行なっています。

海外事業はアメリカ、ヨーロッパの先進国での展開が中心です。

オフィスの賃貸事業について

コマーシャル不動産事業のうちオフィスの賃貸による収益が約4,500億円計上されており最も大きな割合を占めています。

特に三菱地所は丸の内に多くのオフィスビルを所有しています。所在地別の面積と収益の割合は以下のとおりです。

面積では丸の内が占める割合は約42%ですが、収益では56%を占めています。丸の内は日本で最も有名なオフィス街ですから、賃料が高いことが伺えます。

また収益の大部分が東京のオフィスから計上されていることがわかります。

業績の推移

三菱地所の2021年3月期の過去6年間の株価の推移は以下のとおりとなっております。

2020年3月期までは増収増益を続けてきましたが2021年3月期は新型コロナウィルスの影響を受けて減収減益となりました。商業施設やホテルが特に大きな打撃を受けているようです。とはいえ全体としては10%程度の減益ですから非常に安定していることがわかります。

主力事業はオフィスビルの賃貸事業です。オフィスビルは年単位の契約が多いと思います。コロナを受けて会社がオフィスの契約を見直した場合今後少しずつ影響が出てくるかもしれません。とはいえ三菱地所の物件は一等地にたくさんありますから影響は限定的だと思います。

三菱地所の2021年3月期の損益計算書のポイントは以下のとおりです。

貸借対照表の分析

三菱地所の2021年3月期の連結貸借対照表の概要は以下のとおりとなっております。

資産総額は約6兆円となっております。最も大きな金額を占めているのは有形固定資産です。内訳は以下のとおりとなっております。

土地が約2.2兆円となっております。丸の内のオフィスビルはどれも豪華で非常に立派ですが、実は土地の方が高いようです。

ちなみに賃貸に出している不動産は時価が開示されています。

約3.8兆円もの含み益があることがわかります。最近首都圏を中心に不動産価格が上がっていますから、過去に取得した不動産の含み益はどんどん増えているようです。

社債や借入金といった有利子負債が約2.5兆円計上されています。業績が安定していますし特に心配な水準ではないと思います。

まとめ

今回は三菱地所を取り上げました。丸の内の大家さんと言われるほど丸の内に多くのオフィスビルを所有している会社です。他の大手不動産デベロッパーと比べてオフィス事業の割合が大きいという特徴があります。大手企業を中心にリモートワークが拡大すれば長期的にはオフィス需要は減少していく懸念があります。業績は安定していますが成長性という面ではあまり期待できないと思います。

総合評価

以上を踏まえ筆者の三菱地所の財務数値の評価は以下の通りです。