日本企業の分析

オリンパス株式会社 決算分析

オリンパス株式会社ってどんな会社?

会社概要

オリンパスの会社概要は以下のとおりです。

会社の概要
  • 本社所在地:東京都八王子市
  • 設立:1919年
  • 事業内容:内視鏡、治療機器等の製造販売事業
  • 売上高:7,305億円(2021年3月期)
  • 従業員数:31,653人

株価の推移

オリンパスの2021年3月から過去5年間の株価の推移は以下のとおりです。

株価は過去2年間で大きく上昇していることがわかります。

損益計算書分析

2021年3月期の連結損益計算書の概要は以下の通りとなっております。

もう少し詳しい損益計算書はこちら

粗利率が62.9%とメーカーとしては非常に高くなっております。一方で販管費の負担が大きいため営業利益率は11.2%となっております。

販管費のうち、2,137億円が人件費となっております。研究開発費も大きく、非常に技術開発の競争が激しい分野であることが予想できます。

売上高の内訳

オリンパス株式会社の売上高の内訳は以下のとおりとなっております。

製品別の売上高の内訳

売上の6割弱を占めるのが内視鏡です。オリンパスは世界シェアで7割を誇り非常に利益率が高い部門となっております。

内視鏡に次いで大きな金額を占めるのが治療機器となっており、様々な医療機器を販売しております。

化学事業は主に顕微鏡を販売しております。創業以来展開している事業であり生物顕微鏡の分野では世界で4割のシェアを誇ります。

地域別の売上高の内訳

地域別の売上高の内訳は以下のとおりとなっております。

国内向けの売上高はわずか17%となっております。北米、欧州といった先進国向けの売上高が大きくなっていることがわかります。

業績の推移

オリンパスの2021年3月から過去5年間の業績の推移は以下のとおりとなっております。

※2016年3月期、2017年3月期は日本基準

売上高が少し減少していますが映像事業(カメラ・録音機)を売却したことに伴い減少をしています。カメラ事業は赤字が続いていたこともあり、日本産業パートナーズへ売却をしました。

2019年3月期に利益が大きく減少しています。過去の粉飾事案に関する機関投資家への和解金を193億円計上したほか、内視鏡事業に関連して米国で発生した感染症事案に関する罰金を96億円計上したことにより大幅な減益となっております。

これらを除けば比較的業績は安定して推移していることがわかります。医療機器は必需品であり景気の波に左右されない強みがありそうです。

オリンパス株式会社の2021年12月期の損益計算書のポイントは以下のとおりです。

貸借対照表の分析

2021年3月期のの連結貸借対照表の概要は以下のとおりとなっております。

資産総額は約1.1兆円となっております。比較的大きな金額を占めているのは棚卸資産です。回転期間は約7ヶ月となっており在庫に余裕があることがわかります。

有形固定資産は工場や製造設備が計上されていることが想定されます。

まとめ

今回は内視鏡でトップシェアを誇るオリンパス株式会社を取り上げました。過去に粉飾決算により経営危機に陥ったこともありましたが、今は完全に復活しています。主力の内視鏡事業は非常に利益率が高く、コロナ禍の影響もほとんど受けていませんでした。決算が好調にもかかわらず、社外転出支援制度として人員削減を行なったり、経営陣に社外から外国人を複数人登用する等、非常に先進的な経営を行なっており、今後の成長も期待できる会社だと思います。

総合評価

以上を踏まえ筆者のオリンパス株式会社の財務数値の評価は以下の通りです。