Netflix, Incってどんな会社?
会社概要
ネットフリックスの会社概要は以下のとおりです。
- 本社所在地:カリフォルニア州
- 設立:1997年
- 事業内容:ストリーミング配信事業
- 売上高:296億ドル(2021年12月期)
- 従業員数:11,300人(2021年12月期)
創業当初はオンラインでのDVDレンタルサービス事業を行なっており定額で借り放題のサービスを売りにして規模を拡大し2007年にストリーミングサービスを始めました。
株価の推移
ネットフリックスの2021年12月から過去5年間の株価の推移は以下のとおりとなっております。
株価は上昇傾向にあることが分かります。グラフにはありませんが、2021年12月期の決算発表を受けて2月に大きく下落しています。
損益計算書分析
ネットフリックスの2021年12月期の連結損益計算書の概要は以下の通りとなっております。
営業利益率は20.9%と非常に収益性が高い会社となっております。ネットフリックスはもともとDVDの宅配レンタルサービスの会社でしたが、今では売上のほとんど全てが、ストリーミングサービスに関する売上となっております。
地域別の売上高の内訳
売上の大半を占めるストリーミングサービスの地域別の内訳は以下のとおりとなっております。
アメリカやヨーロッパといった先進国向けの売上が大きな割合を占めていることが分かります。
費用について
売上原価
売上原価のが約2兆円となっておりますが、詳細な内訳は開示されておりません。コンテンツ資産の償却費が1.4兆円となっています。動画コンテンツの制作費や購入に関する費用が売上原価の約7割を占めていることが分かります。
それ以外ではサーバーやデータセンターに関する費用がかかっていることが想定されます。ネットフリックスはAmazonが提供するAWSを利用してストリーミングサービスを提供しているようです。
販管費
ネットフリックスの2021年12月期の販管費は以下のとおりとなっております。
販売費は主に新規会員獲得のための広告宣伝の費用が計上されていることが想定されます。研究開発費用はここ数年でかなり増えてきており、2,614億円となっております。動画ストリーミングサービスで巨額の研究開発が必要な要素が見当たりません。なにか新規事業に関する研究でもしているのでしょうか。
過去の業績の推移
ネットフリックスの2021年12月期から過去5年間の業績の推移は以下のとおりとなっております。
売上、利益は綺麗な右肩上がりで推移していることが分かります。これはストリーミング会員が増加したことによるものです。会員の地域別内訳の推移は以下のとおりとなっております。
アメリカでの会員の伸びは鈍化傾向にありますが、それ以外の地域では大きく伸びていることが分かります。
ネットフリックスの2021年12月期の損益計算書のポイントは以下のとおりです。
- 売上高は先進国向けが大きい
- 会員数が増加したことで営業利益率は高くなっている。
- 原価は固定費が大きい
貸借対照表の分析
ネットフリックスの2021年12月期のの連結貸借対照表の概要は以下のとおりとなっております。
資産総額は約5.1兆円となっております。そのうち約3.5兆円を占めるのがコンテンツ資産となっております。
資産の部ではコンテンツ資産が大きな金額を占めていることが分かります。コンテンツ資産はネットフリックスで配信している映像コンテンツを自社で製作したり、買い取ったりライセンスを受けることによって調達しております。
ライセンスにより調達したものと自社制作のコンテンツの内訳は以下のとおりとなっております。
自社制作のコンテンツが増加傾向にあることが分かります。DisneyやAmazon等の競合他社と差別化するために自社コンテンツに力を入れていることが分かります。
資産の部ではコンテンツ資産が大きな金額を占めていることが分かります。コンテンツ資産はネットフリックスで配信している映像コンテンツを自社で製作したり、買い取ったりライセンスを受けることによって調達しております。
実はキャッシュはカツカツだった?
先ほど示したとおりネットフリックスは過去5年間ずっと営業利益を計上していましたが、キャッシュフローという意味では厳しい状況が続いていました。キャッシュフローの推移は以下のとおりとなっております。
以下のとおり2019年までは営業キャッシュフローが大きくマイナスになっております。これは映像コンテンツの取得、制作のために出費が多かったためです。この出費は主に借入金によってまかなっており、現在でも多くの借入金が計上されております。
まとめ
今回は動画配信、映像コンテンツの製作事業を行なっているネットフリックスを取り上げました。2021年12月時点で約2.2億人の会員を抱え世界最大のストリーミング配信業者となっております。2.2億人からの利用料を背景として、毎年動画コンテンツの取得のために1兆円以上の投資を行うことができる状況にあります。そのためAmazonやDisneyといった巨大企業以外は対抗できない状況にあります。現状ではかなり収益性が高い状況にあり今後も大きく揺らぐことはないと思います。
一方で今後の成長性という観点では、不透明な部分が大きいです。有料動画ストリーミングサービスの歴史は浅く、会員がどれぐらい定着するか、アジアや中南米といった新興国が多い地域でどれぐらい会員数が伸びるかどうかは不透明です。
総合評価
以上を踏まえ筆者のネットフリックスの財務数値の評価は以下の通りです。