海外企業の分析

THE PROCTER&GAMBLE COMPANY 決算分析

コインチェック

P&Gってどんな会社?

P&Gはアメリカ合衆国オハイオ州に本社を置く洗剤、化粧品等の日用品メーカーです。2020年6月期の連結売上高は約7.6兆円、連結従業員数は約99,000人の超巨大企業です。その歴史は古く、1837年に義兄弟のウイリアム・プロクターとジェームス・ギャンブルによってロウソクと石鹸の製造事業会社として設立されました。その後創業者の2人の息子たちにより製品が改良され、新聞を使った効果的な宣伝もあり事業規模を拡大しました。1950年には株式上場を果たしております。

各種指標及び株価の推移

株価の推移

P&Gの2020年6月期から過去5年間の株価の推移は以下の通りです。

2018年ごろまでは横ばい傾向が続いておりましたがその後上昇に転じております。

損益計算書分析

P&Gの2020年6月期の連結損益計算書の概要は以下の通りとなっております。P&Gはアメリカの会社ですのでドル建てで財務諸表を作成しております。今回の分析では分かりやすさの観点から1ドル当たり108円で換算しております。

粗利率は約50%、営業利益率は約22%となっており非常に収益性が高くなっております。

販管費については詳細な内訳は開示されておりませんが、広告宣伝費が約7,880億円計上されております。取り扱い製品も多く、一般消費者向けであるため広告宣伝にかなり力を入れていることが伺えます。新製品の開発や既存製品の改良も常に行わなければならず、研究開発費も約1,940億円計上されております。

セグメント別の業績

P&Gは以下の5つの事業をセグメントとして識別しています。各セグメントの概要は以下の通りです。

2020年6月期のセグメント別の業績の概要は以下の通りです。

創業以来の事業である洗剤関連のFABRIC&HOME CARE事業の売上が最も大きくなっております。全ての事業で利益率が20%を超えており安定感があるように思えます。

売上高の地域別内訳

P&Gの売上高の地域別の内訳は以下の通りとなっております。

本社があるアメリカ向け、ヨーロッパ向けで約7割を占めており先進国向けの売上が大きくなっていることが分かります。アジア等の新興国でどれだけ伸ばせるかが今後の成長の鍵となりそうです。

貸借対照表分析

P&Gの2020年6月期の連結貸借対照表の概要は以下のとおりとなっております。

総資産は約13兆円となっております。棚卸資産の回転期間は1.8ヶ月となっております。P&Gの製品が世界中で販売されていることを考えれば、在庫は最小限に抑えられているという印象です。売上債権の回転期間は0.7ヶ月となっております。債権を非常に短期間で回収しており、得意先に対して交渉力が強いことが伺えます。

のれん・商標権について

資産の中で最も大きな割合を占めているのがのれんとなっており、その金額は4.3兆円と巨額になっております。P&Gは大型買収をたくさん行なってきた会社です。

特に2005年に行われたジレットの買収では、株式交換の方法により買収を行い、約349億ドルののれんと約297億ドルの無形資産の計上が行われました。2020年6月期末時点で、ジレット関連ののれんは約125億ドル、無形資産は約141億ドルとなっております。買収時の計上額との差額は減損損失を計上していると推定できるため、ジレットの買収は失敗だったと言えるでしょう。

直近では2018年11月にドイツの大衆薬販売会社のMerck OTCを約37億ドルで買収をしており、のれんが約20億ドル発生しております。P&Gは毎年莫大な利益を計上しております。生み出されたキャッシュは今後も株主還元かM&Aに使われていくことになるでしょう。

過去10年間の業績の推移

P&Gの過去10年間の売上高と営業利益の推移は以下のとおりとなっております。

過去10年の世界経済はリーマンショックからの回復を経て概ね順調に推移してきております。一方でP&Gの業績は売上、利益ともにそれほど伸びていないという印象があります。横ばい傾向が続いてしまっているためシェアを落としてしまっている製品もあるかもしれません。

まとめ

今回は世界最大の日用品メーカーのP&Gを取り上げました。非常に収益性が高く、優良企業として有名な会社です。一方でジレットの超大型買収の失敗もあってか過去10年間の業績はそれほど伸びていません。まだまだ、ジレット関連の巨額ののれんや無形資産が計上されている点も少し気になるとことではありますが、P&Gのブランド力は強く収益力は今後も維持できるのではないかと思います。やはり今後の成長は新興国でどれだけ売上を伸ばすことができるかにかかっていると言えるでしょう。

総合評価

以上を踏まえ筆者のTHE PROCTER&GAMBLE COMPANYの財務数値の評価は以下の通りです。

コインチェック