タマホーム株式会社ってどんな会社?
タマホーム株式会社は東京都港区日本さを置く住宅事業を行なっている会社です。2020年5月期の連結売上高は2,092億円、連結従業員数は3,610人となっております。比較的新しい会社で「高品質住宅を低価格で提供する」という理念を掲げ1998年に福岡県筑後市にタマホーム株式会社を設立しました。その後日本各地に支店を開設し、2011年には47都道府県全てに出店を完了しました。2013年に東京証券取引所へ上場を果たしました。
各種指標及び株価の推移
株価の推移
タマホーム株式会社の2020年5月期から過去5年間の株価の推移は以下のとおりです。
株価は上昇傾向にありますが2020年に入ってからは下落していることが分かります。
各種指標(2020年5月時点)
株価収益率(PER) 7.54倍
株価純資産倍率(PBR) 1.81倍
株価収益率は低水準ですが、株価純資産倍率は比較的高くなっております。業績が急回復した会社はこのようにPERが割安でPBRは割高の状況になることが多いです。
損益計算書分析
タマホーム株式会社の2020年5月期の連結損益計算書の概要は以下の通りとなっております。
粗利率は23.8%となっております。タマホームの主力事業である住宅事業は注文住宅の建築請負を行なっております。顧客がタマホームの住宅の基本設計のラインナップから選択をして、営業担当者と相談しながら間取りや外壁、壁紙等をカスタムして注文をするという流れになっているのではないかと思います。注文を受けてタマホームは外部の業者へ建設を依頼をしているようです。建築を外部に委託しているため、粗利率はそれほど高くはありません。
以下は完成工事原価の内訳となっております。(単体決算の数値です。)
上記の通り外注費が最も大きくなっており原価の半分以上を占めていることが分かります。外注費は変動費の性質が強い費用となっております。次いで大きいのが材料費です。タマホームが一括して仕入れを行うことで建材メーカーや住宅設備メーカーに対して価格交渉力を発揮することができます。材料を安く仕入れることにより住宅を低価格で提供できます。材料費も変動費の性質が強い費用となっております。売上原価は変動費が大半を占めており、売上の減少に対して強い費用構造になっていることが分かります。
変動費の占める割合が大きいため以下のとおり粗利率は安定して推移しております。
販管費について
タマホーム株式会社の2020年5月期の販管費の概要は以下のとおりとなっております。
販管費のうち最も大きい金額を占めているのは従業員給与手当等の人件費となっております。全国各地に店舗を展開しており営業の人員が多いのでしょう。賃借料は営業所の賃料ではないかと思います。次いで大きな金額を占めているのは広告宣伝費となっております。「ハッピーライフ、ハッピーホーム」のキャッチフレーズを知らない人はいないのではないでしょうか。販管費は固定費が大きい費用構造になっていることが分かります。
タマホームは近年業績は好調に推移しております。売上高は増加傾向にあり、販管費は固定費が大きいため売上高販管費は以下のとおり低下傾向にあります。
貸借対照表分析
2020年3月期タマホーム株式会社の連結貸借対照表の概要は以下のとおりとなっております。
資産は流動資産が大きいのが特徴的です。支払手形や短期借入金が多いこともあり、現預金を多く保有しております。未成工事支出金は建築業者への前払金です。一方で約倍の未成工事受入金が計上されております。顧客へ家の引き渡しの前にある程度代金を回収していることが分かります。戸建販売も行なっているため、販売用不動産や仕掛販売用不動産も多く計上されております。戸建販売への売上はそれほど大きくなく、仕掛販売用不動産は前期比で倍増しており少し気になるところです。自己資本比率は約20%となっており比較的低い水準にあります。
セグメント別分析
タマホーム株式会社は以下の4つのセグメントを報告セグメントとして識別しております。
各セグメント別の業績の概要は以下のとおりです。
やはり売上高は主力の住宅事業が大きな金額を占めていることが分かります。一方で利益は不動産事業大きくなっております。決算説明資料によるとタマディアホテル羽田を売却したことが大きく貢献しており一過性の利益ではないかと考えられます。
まとめ
今回は大手ハウスメーカーのタマホームを取り上げました。ハウスメーカー全般に言えることだと思いますが売上原価に関して言えば費用構造は変動費が大きい一方で、販管費は営業社員の人件費や営業所の賃料といった固定費が大きい費用構造となっていることが分かりました。タマホームは高品質で低価格の住宅を提供することを企業理念としております。サラリーマンの平均所得が今後伸びることは期待できない状況ですのでタマホームよりも高価格帯の住宅を購入していた層が、タマホームへ流れてくることは期待できるのではないかと思います。
総合評価
以上を踏まえ筆者のタマホーム株式会社の財務数値の評価は以下の通りです。