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喫茶店の原価率はどのぐらい?なぜ豪華なモーニングを提供するのか

喫茶店の原価の内訳

喫茶店でコーヒーを飲むとお店にもよりますが大体300円〜600円ぐらいかかります。コーヒーであればコンビニや自動販売機で購入することができますが一杯100円程度です。スーパーでインスタントコーヒーを買って自分で作れば20円程度です。同じコーヒーであっても、喫茶店で飲むのと家で飲むのは値段に10倍以上の差があるのです。

それでは日本中の喫茶店がぼったくりをしているのでしょうか?もちろん違います。以下は喫茶店をチェーン展開する某上場企業の決算書を参考に作った原価の内訳です。

喫茶店で1杯のコーヒーをお客様に提供するために、何にどれぐらいのコストがかかっているのでしょうか。

読者の方も大体予想はしていたと思いますが、喫茶店の原価のうち材料費はわずかであり、人件費や店舗賃料にかなりのコストがかかっていることが分かります。コーヒーを500円で提供したとしても、お店の利益は27円しかありません。人件費や店舗賃料が少しでも上がってしまえばあっという間にお店の利益は無くなってしまい赤字になってしまいます。つまり喫茶店で飲むコーヒーは家で飲むコーヒーの10倍以上の値段がしますが決して喫茶店がぼったくっているわけではないのです。

なぜ豪華なモーニングを提供するのか?

喫茶店の中にはモーニングサービスを行なっている店舗は多いです。朝の時間帯にコーヒーを注文すると、ゆで卵やトーストをつけてくれるサービスで非常に人気があります。サラダやサンドイッチ等をつけてくれる店もあり、コーヒーがメインなのかモーニングサービスがメインなのか分からないぐらい豪華な場合もあります。

先ほど見た通り喫茶店は人件費や店舗賃料に大きなコストがかかっており利益率は低くなっています。こんなに豪華なモーニングを提供してしまっては喫茶店は赤字になってしまわないのでしょうか。実はモーニングを提供することによって儲かる仕組みになっているのです。数値例を基に解説していきます。

変動費と固定費について

モーニングが儲かる仕組みを理解するためには、まず変動費と固定費について理解する必要があります。

変動費は売上の増減に伴い増減する費用で、固定費は売上が増減しても同じ金額が発生する費用です。

具体的に見ていったほうが分かりやすいと思うので、喫茶店の費用を例に説明していきます。喫茶店の費用を変動費と固定費に分けると以下のとおりになります。

材料費は、お客さんからの注文が入ればコーヒー豆を挽いたりケーキを提供しなければなりませんから、売上の増加に伴い増加する費用です。

一方で人件費や店舗賃料はお客さんが来なくても店を開けているだけで発生してしまう費用です。お客さんがコーヒーを1杯飲んでも、2杯飲んでも人件費や店舗賃料は変わりませんから固定費と言えます。

変動費と固定費の考え方に基づいてなぜモーニングサービスの導入により利益が増えるかを見ていきましょう。

モーニングサービスの導入によりなぜ利益が増えるのか

モーニングサービスを導入することにより材料費が2倍になったもののお客さんが2割増えたと仮定しましょう。材料費が倍になったのにお客さんが2割しか増えなかったら儲からないように思えますが、どうなるのでしょうか。

モーニングサービスがない場合としてコーヒーを100杯販売した場合の収支は以下のとおりです。(先ほどお見せした数値例を単純に100倍しただけです。)

それではモーニングサービスを導入して材料費を2倍にしてお客さんが2割増えたと仮定した場合にはどのような収支になるのでしょうか。収支は以下のとおりです。

材料費は変動費ですので販売量に応じて増えています。一方で人件費、店舗賃料、その他販管費は固定費なので、モーニングサービスを導入した場合と同じ費用しかかりません。結果として利益は2,700円から4,580円に増えていることが分かります。

喫茶店はもともと材料費が小さいため、材料費を2倍に増やしてもそれほど大きな負担にならないのです。材料費を増やすことでお客さんが増えれば売上が増えて、利益が増えるという仕組みになっているのです。

朝の早い時間は昼間に比べてお客さんが少ないため、お客さんが増えることによって追加でかかる費用は材料費のみとなります。豪華なモーニングを提供しても材料費はそれほど高くないため喫茶店は儲かるのです。