決算書から分かるもの
上場企業が毎年公表している有価証券報告書からは様々なことが読み取れます。今回は有価証券報告書の一項目である「主要な設備の状況」の項目にフォーカスしていこうと思います。
「主要な設備の状況」では、その企業が決算日現在保有している設備の名称と帳簿価格が記載されております。不動産会社であれば、保有しているオフィスビルが東京に集中しているのか、それとも地方にも分散しているのかといったことが分かります。製造業の会社であれば、製造拠点がどこにあるのかが分かり、為替リスクの有無を判断するのに役に立ちます。
5つの建物の値段の比較
今回は難しい話は置いておいて有名な建物が一体いくらで計上されているのかを見ていきたいと思います。今回取り上げるのは以下の5つの建物です。
上記の5つのうちどの建物が最も高価なのでしょうか。やはり日本一の高さを誇るスカイツリーでしょうか。東急プラザ銀座は外観も非常に豪華ですからお金がかかってるそうです。
それでは価格が低い順に発表していきたいと思います。竣工からなるべく近い決算期のデータを元にランキングをつくっております。減価償却が進んでおり実際の取得額とは少し異なっておりますのでその点はご了承ください。
第5位 ららぽーと海老名
最も金額が小さいのはららぽーと海老名です。
ららぽーと海老名は2015年10月に開業した大型商業施設で延べ床面積は121,127㎡です。2016年3月時点の帳簿価格は約168億円となっております。大型商業施設を作るには150億円以上も掛かるんですね。
第4位 東急プラザ銀座
今回紹介する建物の中で2番目に安い建物は東急プラザ銀座となっております。
東急プラザ銀座は2016年3月に開業した商業施設です。2016年3月期の建物の帳簿価格は225億円となっております。延べ床面積は49,700㎡となっておりららぽーと海老名の半分以下です。銀座という日本一のショッピング街のお店であり内外装に非常にお金がかかっていることが分かります。
第3位 東京スカイツリー
今回紹介する建物の中で3番目に安い建物は東京スカイツリーとなっております。
みなさんご存知の通り高さ634mと日本一の高さを誇るスカイツリーの2016年3月期時点の帳簿価格約450億円となっております。
スカイツリーは2012年開業ですので本来であれば2012年3月期の決算書を参照したかったのですが、2015年3月期より前の決算書については公開が終わっておりました。450億円というのは2012年から約4年間の減価償却分を差し引いた金額となりますから、実際の取得価格はもう少し高いはずです。
日本一の高さを誇りますが、ほとんどが骨組みということで価格は日本一というわけでは無いようです。高さ1メートルあたりのお値段は450億円÷634m=約7,100万円となります。高いのか安いのか分かりません。
第2位 虎ノ門ヒルズ 森タワー
2番目にお値段が高い建物は虎ノ門ヒルズ森タワーとなります。
2014年6月に開業した虎ノ門ヒルズの森タワーは延べ床面積172,740㎡、地上52階、地下5階建のオフィス、住宅等の複合ビルとなっております。2015年3月期の帳簿価格は569億円です。都心ににょきにょき立っている立派なオフィスビルは大体500億円ぐらいするようです。50階建で500億円だとすると1フロアあたり10億円ぐらいという計算になります。
第1位 あべのハルカス
今回紹介する建物の中で最もお値段が高い建物はあべのハルカスとなっております。
2014年3月に開業したあべのハルカスは地下5階、地上60階建、延べ床面積304,706㎡のオフィス、商業施設等が入る複合施設となっております。あべのハルカスの2016年3月期の帳簿価格は1,123億円となっております。
あべのハルカスはオフィスと百貨店部分から構成されておりオフィス部分が884億円、百貨店部分が239億円です。延べ床面積も30万㎡を超えており非常にお金がかかっているようです。
まとめ
今回は決算書から企業が保有している様々な資産の価格が分かるということをお伝えするために有名な建物の価格をランキング形式で紹介してきました。みなさんの予想は当たってましたでしょうか。
主要な資産の状況を確認すれば企業が使っている資産が自社所有なのか賃貸なのかといったことや、どの地域で事業を展開しているのかといった様々なことが分かります。決算書を読むときはぜひ参照していただきたいポイントです。
ちなみに・・
今回のランキングでは建物の値段だけで土地の値段は加味しておりません。土地の値段を含めた場合には東急プラザ銀座が最も値段が高い建物になります。なんと東急プラザ銀座の土地の帳簿価格(2016年3月期)は1,560億円となっております。銀座の土地の値段には驚きです。