好調な日本のスーパーマーケット
日本の人口が減少傾向にある中でスーパーマーケット業界は比較的堅調に推移をしております。約10年ほど前はアメリカのウォルマートやフランスのカルフールが進出し日本のスーパーは負けてしまうのではないかと危惧されていた時期もありました。最近ではネット通販が大きく伸びていますが、スーパーマーケット業界がネット通販の台頭により脅かされるような状況にはありません。
倉庫型の店舗を展開するコストコは日本でも非常に人気があり店舗を増やしてきています。今回はコストコと日本のスーパーを決算数値の観点から比較していきたいと思います。
コストコVS日本のスーパーマーケット
費用構造の比較
コストコとスーパーの費用構造の概要は以下の通りとなっております。

上記の通りコストコとスーパーでは原価率が大きく異なっていることが分かります。意外に思われる人が多いかもしれませんがコストコの方が原価率が高くなっています。
一般的に小売業は原価率が高い傾向にありますが、86%というのは驚異的な高さで卸売業と同じぐらいの水準です。
一方でスーパーマーケットの原価は約74%となっています。100円の商品を買った場合には、店側の仕入れ値は約74円という計算になります。
売上高の内訳
コストコとスーパーの売上の内訳は以下のとおりとなっております。

コストコは生鮮食品が約四分の1しか占めていないのに対して、スーパーマーケットでは売上の約半分を生鮮食品が占めていることが分かります。
スーパーマーケットには毎日新鮮な食材を買いに行き、週末に長持ちする食品をコストコでまとめ買いをするというような使い方をしている人が多いのではないかと推定ができます。
1店舗当たり売上高、従業員数
コストコとスーパーの1店舗当たりの売上高と従業員数は以下のとおりとなっております。

上記の通りコストコとスーパーでは1店舗当たりの売上高は10倍近い差があることが分かります。コストコは1店舗当たり約220億円売り上げており地方の百貨店と同じぐらいの売上高があります。
一方で1店舗当たりの従業員数は売上高ほどの差はありません。従業員一人当たりの売上高は以下のとおりです。

コストコの方が従業員1人当たりの売上高は大きくなっています。
コストコは少ない店舗、少ない従業員で大くを売り上げることにより販管費率を抑えているということが分かりました。
まとめ
今回はコストコと日本のスーパーマーケットを比較してみました。コストコとスーパーでは同じ食料品を販売していますが、ビジネスモデルが異なります。その違いから費用構造が大きく異なることが分かりました。
コストコとスーパーは今後も共存していくのではないかと考えられます。
コストコの方が原価率が高く顧客にとってはコストパフォーマンスが良い買い物ができます。しかしそのコストパフォーマンスは大型の店舗で効率的に販売しているからこそ実現できています。
コストコはスーパーのように狭いエリア内に複数の店舗を展開してしまった場合には、1店舗当たりの売上が落ちてしまい赤字になってしまうことが容易に予想ができます。
一方で生鮮食品のように鮮度が大切な商品を毎日買いに行くという買い物習慣は今後も変わることが無いでしょう。毎日の買い物であれば近くのスーパーで済ませることが想定されるため、スーパーマーケットへの需要は今後も維持されると予想されます。