オムロン株式会社ってどんな会社?
オムロン株式会社は京都市下京区に本社を置く電気機械器具、電子応用機械器具、医療用機械器具等の製造販売事業を行なっている会社です。2020年3月期の連結売上高は6,779億円、連結従業員数は28,006人の大企業です。その歴史は古く1933年に立石一真氏が大阪市で立石電気製作所を創業し、レントゲンの写真撮影用タイマの製造事業を開始したことに始まります。その後1962年4月に京都証券取引所と大阪証券取引所市場第二部へ上場を果たしました。
各種指標及び株価の推移
株価の推移
オムロン株式会社の2020年3月期から過去5年間の株価の推移は以下の通りです。
株価は概ね日経平均と連動して推移しているようです。
各種指標(2020年3月時点)
株価収益率(PER)14.54倍
株価純資産倍率(PBR) 3.75倍
株価収益率はそれほど高くありませんが、株価純資産倍率は高くなっており株式市場から高く評価されている銘柄であることが分かります。
損益計算書分析
株式会社オムロンの2020年3月期の連結損益計算書の概要は以下の通りとなっております。
粗利率は約45%と比較的高い水準にあります。試験研究開発費は459億円となっており研究開発に力を入れていることが分かります。センシング技術、制御技術、AI技術、ロボット技術等の様々な技術の開発に取り組んでいるようです。
売上高の内訳
オムロン株式会社の2020年3月期の売上高の内訳は以下の通りとなっております。
インダストリアルオートメーションビジネスが売上の約半分を占めております。こちらのセグメントは工場の生産現場で使用される機器を製造、販売しているようです。
エレクトロニック&メカニカルコンポーネンツビジネスは、リレーやスイッチ等の電子部品を製造、販売している事業です。
ソーシャルシステムズ・ソリューション&サービス・ビジネスは駅務システム、交通管理・道路管理システム、カード決済ソリューション等の社会システム関連の事業です。
ヘルスケアビジネスは、電子血圧計、心電計、電子体温計等の医療機器関連の事業となっております。オムロンといえば体温計等の医療機器の会社のイメージでしたが、医療機器の売上は全体の16%しか占めておらず少し驚きました。
地域別の売上高について
オムロン株式会社の地域別の売上高は以下の通りです。
日本向けの売上は約45%で、海外向けの売上が半分以上を占めていることが分かります。中国、欧州向けの売上が大きくなっております。中国の上海、深圳、大連に生産拠点を抱えおります。地域別の売上はバランスが良い印象を受けました。
車載事業の売却について
非継続事業からの当期利益として357億円が計上されております。これは車載事業を行なっている子会社の株式を日本電産グループへ譲渡したことによるものです。日本電産としてはオムロンが持つモーターの制御技術が欲しかったようです。モーター関連の事業は車の電動化によって成長が期待できる分野ではあるものの、莫大な投資が必要でありオムロンとしてはリスクが大きすぎると判断したのかもしれません。
貸借対照表分析
2020年3月期の連結貸借対照表の概要は以下のとおりとなっております。
資産総額は7,581億円となっており、そのうち4,471億円が流動資産となっております。売上債権の回転期間は2.3ヶ月、棚卸資産の回転期間は3.3ヶ月となっております。棚卸資産は製品在庫が中心です。世界各国へ販売していることから積送中の在庫が多いのかもしれません。
有形固定資産は1,145億円億円となっており、2020年3月期の減価償却費は286億円となっております。有形固定資産の簿価の割に減価償却費が大きくなっております。製品の入れ替わりが早く償却期間が短くしていることが推定できます。
負債の部には、支払手形や買掛金といった営業関連の債務と退職給付引当金が中心であり、借入金は計上されていないようです。自己資本比率は約70%となっており財務体質は非常に健全であることが分かります。
セグメント別分析
オムロン株式会社は事業別にセグメントを識別しており、以下の4つを報告セグメントとしております。各セグメントの事業内容は以下の通りです。
各セグメント別の業績の概要は以下のとおりです。
売上、利益とものIAB事業が牽引していることが分かります。SSB事業は売上のほとんどが国内向けとなっております。HCBは中国向けの売上が大きくなっており成長が期待できそうです。
まとめ
今回は電子機械器具、社会システム、医療機器等の幅広い事業を行なっているオムロン株式会社を取り上げました。幅広い事業を世界各地で展開しており非常に安定感がある企業という印象を受けました。利益率も高く財務体質は健全であり決算書を見る限りでは優良企業と言えると思います。一方で事業の売却が続いていることもあり売上は縮小傾向にあります。車載事業を売却によって得た資金を成長事業に投下していき、売上を伸ばしていくことを期待したいです。
総合評価
以上を踏まえ筆者のオムロン株式会社の財務数値の評価は以下の通りです。