TOTO株式会社ってどんな会社?
TOTO株式会社は福岡県北九州市に本社を置く、トイレ、バス等の住宅設備機器の製造、販売事業を行なっている会社です。2020年3月期の連結売上高は5,964億円、連結従業員数は33,554人の大企業です。その歴史は古く1917年に日本陶器株式会社内にあった製陶研究所が独立し、東洋陶器株式会社を設立したことに始まります。会社の名前が現在のTOTO株式会社に変更されたのは2007年であり比較的最近です。売上の7割以上が国内向けで、海外への売上は主に中国、アメリカ向けの売上となっております。
株価の推移と各種指標
株価の推移
TOTO株式会社の2020年3月から過去5年間の株価の推移は以下の通りです。
株価は2018年ごろに急騰しておりますが、その後は落ち着いた動きになっております。
各種指標(2020年3月時点)
株価収益率(PER) 25.85倍
株価純資産倍率(PBR) 1.82倍
株価収益率、株価純資産倍率は比較的高い水準にあり市場からは一定の評価を得ている銘柄であるようです。
損益計算書分析
TOTO株式会社の2020年3月期の連結損益計算書の概要は以下の通りとなっております。
粗利率は約36%と製造業としては高い水準であると思います。
寡占市場でシェアも高いため安定して高い粗利率を維持しているようです。
売上高について
TOTO株式会社の売上高の内訳は以下の通りです。
トイレのイメージが強かったのですが、水栓機器や浴室もトイレと同じぐらいの売上規模を誇っております。住宅の水回り設備をバランスよく販売していることがわかります。
人件費について
TOTO株式会社の連結従業員数は33,554人となっております。売上高の規模の割に従業員数はかなり多いようです。多品種であり製品ごとに子会社があり、海外展開も積極的であるため人員が多くなっているのでしょう。
人員の内訳は以下の通りです。
連結損益計算書で人件費がいくら計上されているかは開示されていないため、上記の人員数を元に推定していきましょう。TOTO株式会社単体の1人あたりの年間平均給与は約680万円です。先進国の人員は1人あたり680万円、発展途上国の人員はざっくり先進国の1/5と仮定して一人当たり136百万円としましょう。
上記の仮定で連結全体での人件費の推定地は以下の通りです。
かなりざっくりとした推定値ですが連結全体で人件費は1,409億円も計上されており、かなり大きなウェイトを占めていることがわかります。
連結貸借対照表分析
TOTO株式会社の2020年3月期の連結貸借対照表の概要は以下のとおりです。
売上債権の回転期間は約1,7ヶ月、棚卸資産の回転期間は2.6ヶ月となっております。棚卸資産の回転期間が少し長くなっております。製造拠点が中国や東南アジアにもあるため積送在庫が大きいのではないかと考えられます。
資産の中で大きな割合を占めているのは有形固定資産です。取扱製品が非常に多いため製造設備の計上額が大きくなっていることが想定できます。
借入金は少なく、自己資本比率は約58%となっており財務体質は健全な水準にあります。
海外売上高の伸びについて
TOTO株式会社の地域別の売上高の9年前との比較は以下のとおりです。
上記の通り過去9年間でTOTO株式会社の売上高は37%伸びています。主に中国をはじめとして海外で大きく売上を伸ばしていることが分かります。
TOTO株式会社はアメリカに販売会社を設立したのは1989年、中国が1995年です。
日本の自動車メーカーや電機メーカーの海外進出に比較して海外進出は遅いです。そのため今後もまだまだ海外売上は伸びる余地はあると思います。
まとめ
今回は衛生陶器で日本でトップシェアを誇るTOTO株式会社を取り上げました。取り扱っている製品が売れなくなることはまずないため今後も国内事業が潤沢なキャッシュを生んでくれるのではないでしょうか。粗利率が高く、今後も海外売上高の成長が期待できるため優良企業であると思います。
海外旅行へ行った人がウォシュレットがなくて困ったという話をよく聞きます。一度使ったら手放せないものです。トイレに国境はないでしょうから世界中でTOTOのトイレが使われるようになる日もそう遠くはないかもしれません。
総合評価
以上を踏まえ筆者のTOTO株式会社の財務数値の評価は以下の通りです。